- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県大田原市
- 広報紙名 : 広報おおたわら 令和7年3月号(No.1332)
■十九夜講(じゅうくやこう)
民間信仰の一つである十九夜講の掛軸を紹介します。十九夜講とは、「月待ち信仰」のひとつで、毎月十九日に当番の家や地域の公民館に集まって、如意輪観音(にょいりんかんのん)などの掛軸を掲げ、念仏を唱えた後に会食を楽しむことが一般的です。
特定の月齢の夜に集まり、月の出を待って礼拝する行事を「月待ち」といいます。月待ち信仰は女性が行うことが多く、十九夜講、二十三夜講などがあり、地域によっても異なります。安産などの女性特有の願いを込める場合が多く、出産予定のある家は、十九夜講で灯され短くなったろうそくを持ち帰るといいます。陣痛がきた時に、このろうそくに火を灯すと、その火が消えるまでに出産できるという俗信があるからです。月待ち信仰は石塔などから、室町時代(1400年代)には存在が確認でき、江戸時代後期から全国的に広まったようです。
当館には黒羽田町で使用されていた掛軸が収蔵されています。黒羽田町では、10年ほど前まで女性のみが集まり「十九夜念仏」として行っていたといいます。
問合せ:大田原市歴史民俗資料館
【電話】0287‒98‒2151