くらし 令和7年市議会9月定例会 市長所信表明(要旨)(3)

■こども・子育て分野
○「こどもの権利シンポジウム」の報告およびこども・若者の意見表明等に向けた事業の実施
8月2日(土)、こどもの権利シンポジウムを開催しました。第1部は「こども・若者の声を聴く取り組みのはじめ方~家庭・学校・地域の大人ができること~」の講演、第2部パネルディスカッション「こども・若者の声を大切にした関わりとは」では3名のパネラーが登壇し、それぞれの視点から貴重なお話をいただきました。地域でこどもに関わるかた等90名以上にご来場いただき、「大人側が、こどもの声を聴く力をどれだけ高められるかが重要」等前向きな感想が寄せられました。本シンポジウムはこどもの権利への理解を深めること等を目的に、大人向けに開催しましたが、次は、中学生・高校生等向けにこどもの意見表明・社会参画につながる取り組みを検討しています。引き続き、こどもの権利を大切にするまちづくりを進め、こどもが民主主義の担い手として成長できるよう支援してまいります。

○こどもの医療費助成の充実
義務教育就学児と高校生等の医療費助成制度において、200円の一部負担金の撤廃を、令和8年4月から実施できるよう準備を進めています。関連条例の一部改正案を提出し、補正予算に準備経費を計上します。一部負担金の撤廃により、18歳までのこどもの医療費の無償化が実現し、「子育てするなら東村山」の実現に向けて、また大きく一歩前進するものと考えております。

■学校給食施策の進捗状況
中学校全員給食に向け、受託事業者が青葉町に整備する給食調理場は、令和8年度2学期からの食缶方式による実施に向け順調に進んでいます。9月中旬の開業準備評価協議会にて、専門的見地から進捗を確認します。また、小・中学校より候補が寄せられている給食調理場の愛称募集については、生徒投票を経て年内に愛称を決定する予定です。
次に、大岱小学校・青葉小学校の親子方式による給食では、大岱小学校給食室の改修工事が始まり、12月末完了に向け予定どおり進行中です。この期間の給食は、栄養士が献立作成・食材発注したものを民間事業者の工場で調理し配送する弁当給食を実施しています。一部の保護者からは、期間中のアレルギー対応についてご心配の声をいただいておりましたが、事業者とも協議を重ね、現行の除去食対応を行えるよう調整しました。あわせて、親子方式給食調理業務委託公募型プロポーザルを実施中です。引き続き、親子方式による給食開始に向けた準備を行うとともに、WEBマガジン等で丁寧に情報発信し、安全・安心で美味しい給食を安定して提供するよう努めます。

■柳泉園組合加入に向けた進捗状況
4月、柳泉園組合管理者へ、東村山市加入の協議の場の設定を申し入れ、5月に受諾されました。8月、「柳泉園組合・東村山市加入協議会」を設置する旨の通知をいただきました。協議会では、組合の既存施設や新清掃施設整備事業に関する事項、加入に伴う諸課題が協議項目とされ、併せて、組合周辺環境への影響調査のため、当市の燃やせるごみを組合へ搬入・処理する実証実験が予定されています。また、設置の目的・趣旨を、各市が相互に立場を理解、尊重し、多角的に議論を深め、持続可能なごみ処理システムの構築を目指すとされており、私も、協議会の構成員として、この趣旨を果たせるよう、覚悟を持って協議に臨みます。

■まちづくり分野
○新たな東京における都市計画道路の整備方針の調査検討状況
現行の「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」が令和7年度末で期間満了となるため、東京都、特別区および26市2町は、新たな整備方針の策定に向け調査検討を進め、7月に「中間のまとめ」を公表しました。計画期間を15年間とすることや、都市計画道路の基本的方向性が示されています。あわせて都民の皆さまから8月29日までご意見を募集しました。今後はいただいたご意見を踏まえ、東京都や近隣市と連携し優先整備路線の選定検討を進め、今年度中に新たな整備方針を策定してまいります。

○公共交通に関する取り組み
「予約型乗合交通」について、1月20日~6月30日に実験運行を実施しました。利用登録は326人、利用実績は延べ300人で、その内、70歳以上の利用が約75%でした。結果等は地域公共交通会議に報告し、会議では、実験運行の結果等を踏まえ、運行形態等を見直した上で、再度、実験運行を実施するかなど、協議していくこととなりました。このため、今年度内での実証運行の実施は困難と考えておりますが、市としましては、地域公共交通会議でのご意見等を踏まえ、あらためて運行形態の検討を進めてまいります。

○薬師山緑地用地取得
国都の補助金を最大限に活かし、令和7年度中に約1.1haを市と土地開発公社で一括取得し、令和8年度に公社から買い戻しする計画でしたが、令和7年度の補助金交付決定額が市の要望額から大きく乖離しているため、市と公社の取得面積割合を見直し、公社の取得分を増加させ、買い戻し期間も1年間延長する計画とします。その間、国への補助金申請を働きかけ、少しでも多くの補助金確保に努めます。所有者との売買契約は予定どおり年内に締結予定です。買い戻した箇所から順に遊歩道等の整備を進め、供用開始は約1年遅れる見込みですが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

○流域下水道維持管理負担金の改定
多摩地域の下水道は市町村の公共下水道と東京都の流域下水道で構成され、流域下水道の維持管理は市町村の「維持管理負担金」で運営されています。7月28日付で東京都下水道局長から、下水道法に基づき単価改定の意見照会がありました。これまで長らく税込み38円台を維持してきましたが、物価高騰で維持管理費が急増し、現状の単価維持は困難なため、令和8年4月から税込み54.241円への改定の申し出です。安定した事業運営のため、やむを得ないと捉えておりますが、財政面への影響は大きいため、多摩地域の他の市町村の動向も注視しつつ、現在進めている「下水道事業経営戦略」改定の中で使用料改定の必要性も検討してまいります。