子育て [特集]みんなが過ごせる地域の居場所 平塚の子ども食堂(1)
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- 自治体名 : 神奈川県平塚市
- 広報紙名 : 広報ひらつか 令和7年7月第3金曜日号
子どもだけでなく、保護者や地域のみんなに、無料または低額で栄養のある食事が提供される「子ども食堂」。あらゆる世代と団らんできる場にもなっている地域の居場所が、市内でも広がりを見せています。
◆成長を見守り続けたい「ひまわり子ども食堂」
横内3823-1(ひまわり食堂内)
初夏を感じた6月の第1月曜日。午後5時を過ぎると、「今日は何だろうね!」と店の外から子どもたちの元気な声が聞こえてきた。
毎月、第1・3月曜日は、「ひまわり子ども食堂」の日。毎回、70人前後が訪れている。「多いと80人を超えることもあるんですよ」と話すのは、同食堂代表の小野由紀江さん。「ここに来ていた子が、成長して巣立っていく姿を見られるのが、何よりうれしいですね」と笑顔で語る。
◇地域の力強いサポート
同子ども食堂は「ひまわり食堂」の定休日に開かれる。スタートは令和元年7月。始めは昼も夜も定食屋として開いていたが、新型コロナの影響で運営を見直した。日中の食堂は、学校や地域団体から受注した弁当販売だけの営業に切り替えた。同じように子ども食堂も、夕方から開くことにした。「最初は全てを自費でまかない、スタッフと2人だけでお店の営業と子ども食堂を回していました。なかなか大変でしたね」と振り返る。
現在子ども食堂は、小野さんを含むスタッフ2人の他、5人前後の地域ボランティアで毎回運営している。「子どもたちでにぎわう店内を見た主任児童委員さんが、心配して『手伝うよ』と声を掛けてくれました。さらに地域の皆さんともつないでくれて今があります」と話す。店外で事故が起きないように自転車の整理や受付をしたり、店内で料理を配膳して子どもに声を掛けたり。2人ではできなかった部分に手が回るようになっていった。「ボランティアの皆さんがいるから続けられています。ありがたい存在です」。
◇「子どものため」が勝った
ひまわり食堂は、第2・4月曜日に「よこうち子ども食堂」(本紙3面)に場所を提供している。「初めに相談を受けた時は、管理面など、いろいろと考えることはありました。ただ、『よこうち子ども食堂』へ行っている子どもたちに、子ども食堂で過ごす時間を失わせたくない……その思いが勝りましたね」と続ける。
子ども食堂を始めて6年目。補助金などはほとんどもらってこなかったと話す小野さん。「物価高騰もあって食材の調達に苦労しています。お肉は大量に買うとなると高くて。食材に使える補助金があるとありがたいです」と話す。現在、主任児童委員に市の補助金(本紙5面)を受けられるよう、手続きなどの相談をしている。「『おばちゃん、絶対辞めないでね』と、子どもたちに言われるとうれしくなります。ずっと続けていきたいですね」
◆『楽しい』を作りたい「ぺピカ子ども食堂 あそびの日」
菫平9-8(あそびのスタジオ ぺピカ内)
「子どもの『楽しい』」が真ん中にある、親子が安心できる居場所をつくりたい。平成28年、花水地区にできた「あそびのスタジオ ぺピカ」は、代表の石井桂さんのさまざまな思いが込められたレンタルスペースだ。石井さんは「学校や家とは違う地域の居場所で、子どもたちに多くの人と交流してほしい。いろいろな価値観を知って、将来に生かせる予習を自然とできる場所にしたいんです」と話す。
◇ランチから「愛の鐘」まで
季節ごとの体験教室など、親子で楽しめるイベントを随時開いている同スタジオ。令和5年、石井さんは毎月末の平日1回の頻度で、「ぺピカ子ども食堂 あそびの日」を設けた。乳児・未就学児と保護者にも来てほしいという思いから、スタートはランチタイムだ。時間は正午から、子どもが自由に外に出られる愛の鐘が鳴る時間まで。午後2時ごろまでは未就学児と保護者、3時を過ぎると小学生でスタジオはにぎわう。毎回40〜50人が訪れ、思い思いの時間を過ごしている。
小学生は仕事終わりの保護者が迎えに来ることも。保護者の1人は「ごはんはもちろん、のびのびと遊べるので、子どもが毎月楽しみにしています。迎えにきてから親同士で話して過ごせるのもありがたいんです。屋内で他の大人の目があるので安心しています」と話す。
◇次につながる支援
子ども食堂の日は、同スタジオのスタッフ5人の他、地域ボランティア数人で運営している。食材の多くは寄付があるものの、無償の子ども食堂を定期開催するのはなかなか厳しいものがあった。
その中で大きな助けになったのが企業からの支援だった。「二つの市内企業から資金の寄付をいただきました。おかげで来月も無事にできるだろうか、という心配はなくなりました」と石井さんは感謝を語る。「子どもの『楽しい』につながる企画も、もっと充実できます」とにっこり。5月の企画はフルーツ飴(あめ)作り。子どもたちは食べるだけではなく、スタッフにもなれる。作った飴を手に「できたよ!」と呼び掛ける姿もあった。石井さんは「子どもがのびのびと挑戦して、成長できる場でありたいですね」と優しく語る。