子育て [特集]みんなが過ごせる地域の居場所 平塚の子ども食堂(2)

◆チームで居場所を守りたい「よこうち子ども食堂」
横内3823-1(ひまわり食堂内

「よこうち子ども食堂」は、平塚市に初めてできた子ども食堂だ。平成27年8月に立ち上げ当初のメンバーで、東京都八王子市の子ども食堂を見学。話し合いの期間を経て、28年1月に活動が始まった。
立ち上げからのメンバーである石田朋子さんは「昔から横内地区の子どもたちは元気で素直。子どもたちが安心してごはんを食べられる場所を、これからも守っていきたいですね」と話す。石田さんは長年ここでボランティアを続ける理由を、「子どもたちが『おいしい』『おかわり』と喜んでくれるので通うのが楽しみなんです」と語る。

◇場所探しの苦悩
さまざまな事情で場所が移り変わってきた同子ども食堂。現在は3カ所目。石田さんは「条件の合う場所は限られているので、場所探しには本当に苦労します」と振り返る。令和元年、2カ所目が安定して利用できなくなった時も、次の場所がなかなか見つからなかった。よこうち子ども食堂の代表から、ひまわり子ども食堂の小野さんに相談し、令和2年1月から現在の形になった。「無事に続けられることになってほっとしました。全ての道具を管理して運搬に苦労していた時期もあったので、調理道具や食器も利用させていただけるのは、本当にありがたいです」。

◇献立は当日の食材で
同子ども食堂では、第2月曜日はカレーライス、第4月曜日は当日届く野菜を見てメニューを決める。必要に応じて買い出しにいくことも。「子どもが食べやすいように、工夫して調理しています」と同子ども食堂が始まった年から参加している、菊地文代さんは説明する。新鮮な野菜は、「はちどりの畑(本紙3面)」や、地域の方が家庭菜園で収穫したもの。当日調理の時間になると続々と届く。「野菜の寄付に恵まれていると感じます。皆さんの支援のおかげで食堂が成り立っています」。

◇世代を越えた交流
ボランティアは現在、約10人。地元・横内地区でボランティアをしている菊地さんは「毎回、ありがたいことに他の地区の方もボランティアに来てくれています。子どもたちだけでなく、子ども食堂の仲間たちに会えることも楽しみの一つなんです」と話す。
子ども食堂は、ボランティアだけでも幅広い世代がいて、子どもたちとも交流できる場。5・6年前に食べに来ていた子の保護者が今、ボランティアとして一緒に活動するなど、新たなつながりもできた。「地区も世代もバラバラだけれど、チームとして活動できる。本当に貴重な場所だと思っています」とほほ笑む石田さん。「同じ思いの方たちが今後チームに加わって、この子ども食堂が続いていってくれたらうれしいです」と語る。

◆細く長く続けたい「かわせみ子ども食堂」
岡崎3634(岡崎公民館)
各公民館の利用には、団体登録や、事前の利用申請が必要です。詳しくは、市ウェブをご覧ください。

今年4月、岡崎地区に初の子ども食堂「かわせみ子ども食堂」ができた。原則、毎月第3水曜日、午後4時から当日先着30食。プレオープンと4月はわずかに定員に満たなかったが、6月は開始40分で定員に達した。代表の西田伸子さんは「地域の皆さんの応援もあり、少しずつ知ってもらえるようになりました。月を追うごとに、来てくれる子どもたちが増えています」と喜びを語る。
「地域の子どもたちのために何かしたい」という思いで西田さんと友人たちが、昨年6月に動き出した。現在は岡崎地区在住の6人で運営している。

◇頼れる先輩に学びながら
「自ら発信して地域で活動をするのが初めてだったので、何から始めたら良いのか・誰を頼ったら良いのか……など、分からないことだらけでした」と西田さん。市民活動センターに相談したり、市内の子ども食堂を見学したり、手探りで一から勉強した。「市社会福祉協議会や自治会に相談するべきだったのですが、少し遠回りしてしまいました」と苦笑い。
岡崎公民館の利用に向けても、団体登録・条件などを公民館と時間をかけて、丁寧に確認していった。「一緒に立ち上げた仲間はもちろん、忙しい中、相談に乗ってくださった先輩の皆さんや、公民館の利用に向けて親身になってくれた公民館の主事さんたちには本当に助けてもらいました」と感謝の思いを語る。現在は社会福祉協議会が取りまとめる支援ネットワーク(本紙4面)の寄付も活用している。

◇来たる夏休みに向けて
7月21日(祝)から、市内の小・中学校では夏休みが始まる。日中、家で過ごす子どもが増えることから、8月20日の回は昼食の時間に開くことにした。公民館に相談して、昼食後は学習スペースとして会場を使えないかと検討中。「夏休みに限らず、1人ではなく誰かとごはんを食べられる日を作りたいと思っています」と西田さん。「月に1回、先着30食とたくさんではありませんが、できる範囲で、岡崎地区の一つの居場所として細く長く続けていきたいです」と未来を見据える。

問い合わせ:社会福祉協議会地域福祉推進課
【電話️】33-0007