- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県平塚市
- 広報紙名 : 広報ひらつか 令和7年7月第3金曜日号
◆頑張る『みんな』に届けたい
無農薬・化学肥料不使用の野菜を、相模原市の畑で育て、必要とする団体に届ける「はちどりの畑」。現在、取れた野菜の全てを、平塚市の子ども食堂3カ所と、フードバンク湘南などに寄付している。
毎月第2・4月曜日の午後3時、野菜いっぱいの箱を抱えた平本博さんがよこうち子ども食堂にやって来る。「『みんな』においしいものを食べてほしい、それだけです。地域で活動する皆さんの力になれて、さらに食べた人にも喜んでもらえていたらうれしいです」。
平本さんがよこうち子ども食堂に野菜を届け始めて、今年で10年目。同食堂との付き合いは、平本さんが定年退職した平成28年から始まった。「何かやりたいと思い、仲間と野菜作りを始めました。インターネットでよこうち子ども食堂を知って、力になれないかとすぐに連絡を取りましたね」と平本さん。「当時に比べ、子ども食堂は世間に知られるようになりました。知るだけで終わらせず、ボランティアの輪がもっと広がっていくといいですね」。
◆「支援したい」をつなぐ
平塚を子育てしやすいまちにしたいという思いを持った支援者同士が、手を取り合って立ち上がった「ひらつか子ども・子育て支援ネットワーク」。令和元年に検討会ができ、4年に発足した。市民生委員児童委員協議会、学校や保育園、市こども家庭課・保育課・学務課・健康課などの委員で構成されている。委員の中には、平塚初の子ども食堂の立ち上げメンバーだった堤園子さんや、こひつじ食堂(5面マップ(12))を運営する平野健治さんら、地域の現場で「子どもの居場所づくり」に取り組む方たちもいる。支援ネットワークは四つのプロジェクトに分かれていて、「学習支援・こども食堂プロジェクト」はその一つ。支援ネットワーク全体を取りまとめているのが、市社会福祉協議会(市社協)だ。
◇広がる支援の輪
市内の子ども食堂は、年々増えてきた(下グラフ)。各子ども食堂と支援したい方をつなぐ役割を担っている市社協は、その増加に伴う変化を実感する機会も多い。市社協の枝崎宏昭さんは「子ども食堂を始めたいという方はもちろん、現場を手伝いたい、寄付で支援したいという声も多く聞くようになりました」と笑顔で話す。「個人だけでなく、企業からも食料品などの寄付が増えていて、心強さを感じます」と続ける。市社協が、寄付を受け取って支援ネットワークに呼び掛けたり、支援をしたい方に子ども食堂を紹介して、継続的に支援してもらったり。子ども食堂を運営する方たちへの支援の輪が広がっている。
増える市内の子ども食堂の数
(支援ネットワーク推進委員会ができてから記録開始)
◇「携わりたい」を現場へ
市社協では、令和3年度から子ども食堂を始めたい方に向け、学びの場を設けている。「子ども食堂・学習支援ボランティア講座」には初年度、30人が参加した。以降も年に1回開いている。
また子ども食堂の先輩と交流できる集いも同年度から始めた。「講座と集いにセットで参加する方が多く、ほとんどの方が自分で立ち上げたり、既存の食堂でボランティアを始めたりしています」と効果を振り返る。「今年も秋ごろに講座を予定しています。興味のある方は、この機会にぜひ参加してみてください」。
◇まずは市社協へ相談
「食材や資金の寄付をしたい」「市内の子ども食堂を手伝いたい」。このような思いがあり、子ども食堂を運営する支援者の力になりたい場合は、市社協の地域福祉推進課が窓口になってくれる。「個人でも企業でも、まずは市社協にご連絡ください。支援ネットワークの窓口として、必要としている子ども食堂へとつなぎます」と力強く呼び掛けた。