くらし 豊かな海の復活に前進!藻場再生に向けた取り組み

近年の夏は、連日のように猛暑が続き、気温が上昇する中、小田原の海でも劇的な環境変化が起こっています。現在、海藻が繁茂する藻場(もば)がなくなる「磯焼け」が深刻で、地球温暖化による海水温上昇が一因といわれています。
その中で「磯焼け」から豊かな海を復活させるために、藻場再生に向けて取り組む人たちがいます。

◆藻場再生に取り組む人たち

「磯焼け」が進む小田原の海での藻場再生に向けて、令和3年、市漁業協同組合や西神奈川ダイビング事業者安全対策協議会などで「小田原藻場再生活動組織」を結成しました。
現在、県や市、水産団体のサポートの下、海の生態系の基盤となる藻場再生を通して、豊かな海の復活を目標に活動しています。

《小田原の海からカジメが消えた!》
小田原の海はかつて、主にカジメという海藻が繁茂しており、台風などによってカジメが剥がされても、再びカジメが生えるサイクルがありました。しかし、平成30年と令和元年に立て続けに大型台風が通過し、カジメは激減。カジメは根こそぎ剥がされ、その後も復活することなく、小田原の海からカジメが消えてしまいました。
「昔は、カジメを好んで食べるアワビが捕れましたが、カジメが消失した今は、ほとんどアワビは捕れないです」と野瀬さんは語ります。
実際に、江之浦漁港におけるアワビの漁獲量は、平成30年から令和元年にかけて半分以上も減り、令和4年以降は、ほとんど捕れなくなっています。

〈江之浦漁港におけるアワビの漁獲量の推移〉
平成30年:2.2トン
令和元年:0.8トン
令和2年:0.4トン
令和3年:0.2トン
令和4年:0トン
令和5年:0.1トン

《県内初の「藻場礁」を設置》
藻場再生に向け、まず取り組んだことが、海藻の生育や増殖をするための拠点づくりです。具体的には、コンクリートで作られた500キログラムの「藻場礁」を、元々カジメがあった漁場を中心に、合計10カ所に設置しました。「藻場礁」には、保護網を付け、その中にカジメを入れることで、生物による食害を受けづらくしました。
「『藻場礁』に入れたカジメの種は秋に飛ぶので、それまで金網で保護して育てます。500キログラム規模に及ぶ大型の『藻場礁』で藻場再生すること自体が県内初の試みでした」と野瀬さん。

《食害を起こす魚の生態を調査》
「藻場礁」を設置しても、食害生物による被害に遭う可能性が高いことから「何が」「いつ」「どの場所で」海藻を食べているのか把握するため、タイムラプスカメラを海に沈め、県水産技術センターに調査してもらいました。
「朝はブダイ、夕方はアイゴが海藻を食べるといった、魚それぞれの行動パターンが分かってきました。今までの漁では、夕方に網を仕掛けて次の日の早朝に引き上げるというサイクルでしたが、このサイクルでは1回で2、3匹しか取れませんでしたが、昼間に引き上げるようにした結果、1回で40匹くらい取れるようになったんです」と三谷さんは語ります。
この成果は水産関係者に発表され、貴重な情報として他団体からも注目を集めました。

《復活の兆しが見えた3年目!》
活動を開始して3年目の今年度、ついに自然海域に生えるカジメを確認することができました。
「また大型の台風が来たらカジメが吹き飛ぶ可能性もありますが、これは大きな一歩です。海流の変化などによって、海藻は急に成長することもあると聞きます。一進一退ですけど、諦めずに続けていきたいです」とお二人は力強く語ってくれました。
豊かな海の復活に向けた活動は、まだ始まったばかり。組織の挑戦は続きます。

ブダイの生態や魅力は本紙8ページで紹介中!
チェックしてみてね!

【WEB ID】P39399
問い合わせ:水産海浜課
【電話】0465-22-9227