くらし (特集)入農生の「NEW農パワー!!」町農業の可能性、拡大中

入農生は、2年生時から、グループを作って課題研究を行います。
入善ジャンボ西瓜、チューリップ、コメ、野菜と、その題材は毎年多岐にわたります。
栽培における工夫や知名度アップの方法、作物の新しい活用法などを、生徒たちの若い感性で考えることで、町農業の可能性が広がっています。
ここでは、そのうちの2つの研究グループを紹介します。

◆ドローンなど最新技術を有効活用 未来のコメ作りに貢献
「富富富(ふふふ)」栽培の研究グループ

「富富富」研究班の3年生3人は、昨年12月、全国67校が出品した「全国農業高校お米甲子園」で上位15校に入り、特別優秀賞を受賞しました。大会では、「食味」と呼ばれる、味や食感、香りなどのさまざまな要素を評価。同班の富富富は、全体のバランスの良さで高評価を受け、学校として富富富では初の受賞となりました。3人は現在、昨年得られた経験を生かして、研究栽培に励んでいます。
4月下旬ごろ、3人は苗の種まきを実施。5月中旬には、最新の田植え機を自ら操作し、育った苗の田植えと施肥を同時に行いました。田植え前の準備には、昨年ドローンで撮影した水田の空撮写真を活用しました。上空から見た生育のばらつきから、土が低い箇所を特定。砂を足してでこぼこを減らすことで、水や肥料が均一に行き渡るようにしてあります。
6月には、水の出入りを円滑にする「溝切り」を実施。泥に足を取られながら、手押し型の溝切機を使って水の通り道を作りました。これにより、適切な水管理が保たれています。
稲の生育状況は、毎週の観測で確認。5つの観測地点の苗の長さを測定します。猛暑が続きながらも、高温に強い富富富の性質もあり、生育は順調です。
3人は「温暖化が進めば、暑さに強い富富富の価値はさらに高まると思う。今後も、昨年より上のお米甲子園金賞はもちろん、未来のコメ作りのためにも研究をがんばりたい」と話します。

◆産業廃棄物を野菜作りに再利用 地域に還元できる研究を
キクラゲ廃菌床(はいきんしょう)の研究グループ

「キクラゲ廃菌床の農業利用」について研究する3年生4人が、7月の日本学校農業クラブの県大会で「プロジェクト発表 分野I類」の優秀賞を獲得し、8月20日には、北信越大会に出場しました。
研究のきっかけは、舟見でキクラゲを栽培する「株式会社ツーライン」でした。キクラゲは、おがくずに米ぬかなどを混ぜて固めた「菌床」で栽培。2~3回収穫した後はお金をかけて廃棄します。その廃菌床を農業に再利用する方法を研究してみてほしいとの同社の声を受け、令和5年から研究を始めました。
調べた結果、廃菌床は栄養が豊富で、植物の成長を助ける効果や土の状態を良くする効果があることを確認。そこで4人は、譲り受けたキクラゲの廃菌床を使った野菜づくりと堆肥づくりに挑戦しました。
野菜作りでは、キュウリを研究対象に選定。育苗ポットや畑の土に、廃菌床そのものを異なる比率で混ぜ、生育状況を比べました。その結果、廃菌床を混ぜると、通常の栽培より葉の色が濃くなり、ある一定の配合比では収穫量も増えました。
また、鶏糞(けいふん)と廃菌床を異なる比率で混ぜた堆肥を手作り。エダマメ栽培に使うと順調に育ったため、堆肥作りにも有効活用できることが分かりました。
4人は「今後も、町内農家での廃菌床の活用や堆肥の商品化など、目に見える成果を地域に還元できるよう、研究をつないでいきたい」と意気込みます。