くらし (特集)入農生の「NEW農パワー!!」角形ジャンボで知名度UP

130年近い伝統を持ち、夏の贈り物として愛される「入善ジャンボ西すいか瓜」。その一方で、栽培する労力の大きさや農家の高齢化による生産者減少などが不安要素に挙げられます。
ここでは、その解決のために入農生が取り組む、「NEW農チャレンジ事業」を紹介します。

◆角形ジャンボスイカ甘く
入善高校上田農場で8月4日、同校の2~3年生7人が「NEW農チャレンジ事業」の一環で研究栽培に取り組む、角形の入善ジャンボ西瓜の収穫が行われました。挑戦3年目にして、甘みがあり、おいしく食べられる角形スイカの栽培に成功した生徒たちは、喜びの声をあげました。

◆NEW農チャレンジの歴史
町は令和元年度、町ジャンボ西瓜生産組合とみな穂農協などと協力し、同事業を立ち上げ。農家の考える西瓜栽培の改善案を高校生が研究し、省力化を目指しました。
高校ではこれまで、通常栽培に加え、肥料を削減して利益率の向上を図る栽培や、連作障害の軽減を図る接ぎ木栽培の研究などに挑戦。併せて、SNSなどを活用し、ジャンボスイカのPRを図ってきました。その一環で令和5年度から始めたのが、角形栽培でした。

◆角形栽培への挑戦
これまでにない綺麗な角形で、おいしく食べられるジャンボスイカを作り、知名度を上げることが角形栽培の狙いです。
1年目は、型枠が西瓜の成長に耐えきれず変形し、きれいに取り外せませんでした。
2年目は、型枠の素材を強化し、分解型に改良。形は四角くなったものの、枠内が高温になりすぎたことが原因で、甘くなりませんでした。
3年目の今回は、型枠に穴を開けて通気性を良くしたり、白く塗装したりと、温度を下げる工夫をプラス。その結果、糖度は11・8度と、通常の西瓜に近い、おいしい西瓜に。一方、天候不順などが原因で、形は2年目よりも角ばらず、課題も残りました。

●入農生 稲村 朝妃(あさひ) さん(3年)
昨年よりも形は丸っこくなってしまいましたが、糖度は十分で、通常のジャンボ西瓜と同等のおいしさに仕上がりました。後輩たちには、昨年とことしの結果を生かして、味と形を両立した角形スイカを実現してほしいですね。

●入農生 吉田 匡志(まさむね) さん(2年)、島先 伶奈(れいな) さん(2年)
暑さ対策のおかげか、糖度が出て良かった一方、シャリシャリ感は少し弱く感じました。
来年は上級生として先頭に立って研究する立場。
枠の大きさや枠入れの時期を工夫して、味も形もさらに良い角形スイカを目指したいです。

●入善高校農業科 教諭 谷本 駿(しゅん) さん(29歳)
天候不順に苦しみながらも、生徒たちのがんばりや、農事組合法人ウワダさんのご協力のおかげで無事収穫できました。生徒たちには今後も研究を続けてもらい、いずれは販売できる角形スイカができることを期待しています。