文化 無名塾 肝っ玉おっ母と子供たち~演劇がつなぐ 心と心(2)~

■公演を支えたボランティア
公演を行うには、演者だけではなくさまざまな役割を担う人の存在が必要だ。
無名塾の能登演劇堂公演では、市民がホールスタッフなどのボランティアやエキストラとして参加することが恒例となっており、本公演も多くの市民が携わった。
また、今回の公演では、県外からのエキストラ参加者も見られ、市内外のさまざまな人が「復興公演」を盛り上げた。

▼市民エキストラ6度目の参加 山下敏博さん
舞台に立つ仲代さんの姿はとても刺激になります。
無名塾の皆さんも親しくしてくれて、これまでの交流で築いた絆を感じました。演劇で生まれたかけがえのない出会いを大事にしていきたいです。

▼県外から参加で能登を応援
▽伊藤裕子さん
仲代さんの気迫と無名塾の皆さんのチームワークは近くで見ていて圧巻でした。能登の人の良さを感じたので、また足を運びたいです。

▽市川裕之さん
能登に来ることが復興につながると思い、応募しました。人々の心を打つ作品に携われて幸せです。何よりも価値のある経験になりました。

▽佐藤牧子さん
復興のために少しでも力になれたらと参加しました。観劇された人から「一生の思い出になる」と声を聞き、心が元気になっていると感じられました。

▽原康長さん
8年前の「肝っ玉おっ母と子供たち」に感動し、今回のエキストラに参加しました。地元の人が協力して公演を作り上げているのが、とても素晴らしいです。

■人間の力を信じて―仲代達矢さんインタビュー
―公演を終えて
復興半ばの公演で、客足はどうだろうかと心配した部分もありましたが、会場いっぱいにお客さまが入ったことで、少しほっとした気持ちがあります。
県外から観劇に来られた方に、多少なりとも能登の現実に触れていただけたことが、私にとっては何よりもありがたかったです。
そして、被災した皆さんが、このお芝居で少しでも力を得ていてくれたらと、そう願うばかりです。

―被災地の能登にたくさんの人が詰め掛けた
実にありがたいことです。地震直後にも塾員たちがボランティアを行いましたし、仮設住宅の訪問を含めてやれることは何でもやろうと思っていました。
しかし、実際のところ私たち役者は、何でも器用にできる人間ではありません。やはり、何かの役を演ずることでしか、お世話になったお返しはできないものと思っていました。
その機会を与えていただいたことに、とても感謝しています。

―被災した能登・七尾の皆さんに向けて
戦争も、地震や豪雨などの自然災害も、同じようなところがあります。
誰しも平穏な暮らしと、家族を失うことのない平和な日常を願っていますが、そんな私たちの想いとは裏腹に、突然やって来て不幸の旅路に引きずり回してしまうのが、戦争や自然災害です。
でも、人間は負けていません。太古の昔から、何度も何度も、その「どん底」から立ち直っています。私たちの中に潜む、そんな人間の力を信じましょう。たとえ、課題や困難は、多々あるとしてもです。

■能登と無名塾、交流40周年の感謝を込めて
―能登演劇堂開館30周年・無名塾交流40周年記念
無名塾「幽霊」10月10日(金)~15日(水)