- 発行日 :
- 自治体名 : 石川県七尾市
- 広報紙名 : ななおごころ 広報ななお 令和7年(2025)8月号
■令和6年能登半島地震と長谷川等伯作品
長谷川等伯は若い頃、信春の名で仏画を中心に描いていました。そのため、能登の寺院、特に日蓮宗関係のお寺には等伯本人や養父・長谷川宗清、養祖父という説もある無分など「長谷川派」の作品が伝わっています。
彼らの作品は貴重な文化財ということで、当館でお預かり(寄託)している作品も多く、地震発生当時は収蔵庫内で保管されていたため、被害はありませんでした。
一方で、その当時は美術館ではお預かりしていなかった作品もありました。
「日蓮聖人像」を所蔵する珠洲市・本住寺は、本堂が全壊してしまいましたが、作品は庫裏の金庫に入っていたおかげで無事でした。そして、能登文化財保護連絡協議会事務局から連絡を受け、北館長(当時)も駆けつけて預かり、当館に保管されました。
また、等伯の生家(奥村家)の当時の菩提寺である山の寺寺院群の本延寺でも本堂の後壁が崩れ落ち、等伯が彩色した「日蓮聖人坐像」も、危うく後ろに落ちるところ、奇跡的に救出されました。こちらも現在当館でお預かりし、本住寺「日蓮聖人像」とともに本展覧会に出品されます。
現在、400年以上前の等伯作品が残っているのは、先人たちが大切な宝として、守り伝えてきたからです。美術館の使命としてこれからも長く等伯作品などの保管・管理をサポートし、未来の人々にも文化財の素晴らしさを伝えていきます。
■休館中の文化財レスキュー
美術館の休館中、国の文化財防災センターや県、市と協力して文化財レスキューに参加しています。
「文化財」は私たちが住むこの地の歴史・文化を伝える貴重なものです。かけがえのない宝を後世まで長く伝え続けるために、国や県が主導となってレスキュー事業に着手しています。
活動には全国各地の美術館・博物館の学芸員などが参加し、暑い日も寒い日も美術工芸品などを梱包や運び出しする姿に心打たれました。
■展覧会情報
会期:9月20日(土)~10月16日(木)
休館日:9月30日(火)、10月7日(火)、14日(火)
観覧料:一般1,000円(900円)、大学生350円(300円)、高校生以下は無料
※( )は20名以上の団体料金
前売り券:ファミリーマート、セブン-イレブン、ローソン・ミニストップで取り扱い(JTB商品番号…0266829)
※前売り券の発売は9月19日(金)まで
■関連イベント開催!
▽スペシャル座談会(聴講無料)
日時:9月21日(日)14:00~16:00
会場:当館アートホール
定員:200人(当日13:30より整理券配布)
パネリスト:安部龍太郎氏(『等伯』直木賞作家)、松嶋雅人氏(東京国立博物館学芸企画部長)、東四柳史明(当館館長)、北原洋子(司会・当館学芸員)
▽等伯七美講座聴講無料:《要予約》
日時・講師:
(1)9月28日(日)「京都での人脈と作品の変遷」講師北原洋子(当館学芸員)
(2)10月5日(日)「出品作品の魅力」講師河野喬紀(当館学芸員)
(3)10月11日(土)「長谷川信春とその時代」講師東四柳史明(当館館長)
各日14:00~15:00
会場:当館アートホール楽屋
定員:各回20人
※9月2日(火)9:00より電話にて受付を開始します。(先着順。1度のお申し込みで3人まで)
受付期限は開催日前日までです。定員に達し次第締め切ります。
問合せ:七尾美術館
【電話】53-1500