くらし [特集]森を生かす人たち(1)

■森を知り森を生かす
~地域の未来をつくる林業~
私たちの生活を支える「山」について、じっくりと考えたことはありますか?
近年、森林に対する住民の関心や価値観が多様化し、森林に求められる役割も増えています。
今月の特集では、森を生かすことの重要性と生かすために活動する方の取り組みをご紹介します。

勝山市は、総面積の約8割が森林で、そのほとんどが国が所有・管理していない民有林です。
民有林には市や県が管理する森林も含まれます。
また、民有林の42.7%(7,762ha)が、スギを主体として人工的に植林が行われた森になっています。

●整備された森林の7つの機能
1 水源を守る 雨水を蓄え、ゆっくりと川に流すことで豊かな水を供給する
2 災害を防ぐ 木の根が土をしっかりつかみ、土砂崩れや土が流れるのを防ぐ
3 快適な環境を作る 木々が暑い日差しを遮り、騒音を和らげ、空気をきれいにする
4 健康や遊びの場となる リラックスしたり、運動したり、学ぶことのできる場を提供する
5 歴史や文化を守る 神社仏閣や古城など、歴史的な場所の風景を彩る
6 生物を守る いろいろな生物が暮らす場となり、命の多様性を守る
7 木材を作る 家を建てたり、家具を作ったりするための木材を育てる

■森林を守り、生かす「大きな林業」と「小さな林業」
林業は森林を管理し、活用する産業で、その特色と役割から「大きな林業」と「小さな林業」に分けることができます。
「大きな林業」では大型機械を用いて大規模かつ効率的に木を伐採します。また伐採し木材を作るのみではなく、木を植え、手入れし、育てる再造林も行っています。
「小さな林業」では少人数で少しずつ伐採・搬出します。山に木を残しながら小さい機械で作業することで、山に大きな負担をかけずに森林を管理・活用します。
勝山市でもこの2つの林業によって森林の機能と価値の最大化が図られています。

▽「大きな林業」のサイクル
主伐→加工→造林→保育→間伐

林業は私たちのくらしを支える大切な産業ですが、専門的な知識と技能が必要とされます。
勝山市では、勝山市有林・小原生産森林組合・九頭竜森林組合の経営計画に基づいて、民有林の約7割が計画的に伐採・造林・保育されています。多くの人の尽力によって勝山の森林は整備されてきています。
しかし、それでも勝山市の森林全てに手が届くわけではありません。手入れがされていない森林は、木が健康に育たず、災害に弱くなる可能性があります。そうした森をなくすために、みんなで森林を守り、育てる取り組みが大切です。

●健全な森林を計画的に維持・育成する 森林計画制度
日本では森林法に基づき、国・県・市町村を通じて森林・林業に関する方向性や目標・指針などを示した計画が立てられています。
勝山市でも「勝山市森林整備計画」による森林施業全般の指針などに沿って、森林組合や林業事業体などが経営計画に基づき施業を行っています。