くらし 祝20年~since2005~河和田アートキャンプ(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県鯖江市
- 広報紙名 : 広報さばえ 令和7年11月号 通常版
夏休み期間にプチ移住し、地元の人たちと交流しながらアート活動を通して地域課題を解決する――。
全国でも珍しいプロジェクト「河和田アートキャンプ」が始まって、今年で20年を迎えました。
きっかけは2004年7月の福井豪雨でした。足羽川(福井市)の決壊を引き起こした大雨の影響で、河和田地区では川が氾濫。多くの住宅が浸水したほか、出荷前の越前漆器が水につかり、小学校の校庭にはがれきが積まれるなどしました。
復旧作業で忙しい大人たち。一方、子どもたちも楽しい夏休みを奪われました。そこで、地域団体が連携して同年10月、子どもを元気づける催し「学校で縁日」を企画すると、縁日を手伝うために京都からも大学生たちがやってきました。
豪雨災害は環境問題――。そんな意識から、近畿圏で環境活動をしていた大学院生・浅利美鈴(あさりみすず)さん(現・総合地球環境学研究所副所長)や、京都精華大学講師(当時)の片木孝治(かたぎこうじ)さんがゼミ生らを連れて来たのです。
新たに生まれた交流の輪を地元も歓迎。翌年からは片木さんらがプロデュースする形で、芸術活動で地域復興を目指す「河和田アートキャンプ」が本格的にスタートしました。
精華大はデザイン学部やマンガ学部などを置く「表現の総合大学」。ノウハウが豊富でフットワークも軽い同大の学生を中心に、農業や教育、産業や健康をからめたプロジェクトを次々と実行していきました。これまでに参加した学生は全国56大学、累計約1670人に上ります。
学生たちの瑞々しい感性と住民による化学変化はこれからどんな物語を生み出していくのでしょうか。
■河和田地区
人口:3,602人(1,347世帯、10月1日現在)
特産:越前漆器、山うになど
特徴:ホタルやオシドリなどの生息でも有名。ご当地キャラは地元の小学生が考案した「やまうにん」(本紙のイラスト参照)。
■年表

■本紙P2~3写真
2004年の福井豪雨で、この一帯は水に浸かりました。「江(え)ざらい(用水路の掃除)をすると、当時流出したとみられる漆器が見つかることが今もある」。そんな証言を基に今年、防災を考える企画の一環で、周辺を掘削。漆器は見つかりませんでしたが、貴重な「宝探し」でした。
写真(本紙参照)は学生と地元の井上祐希さんら。
