くらし 食でめざそう!家族のえがお

「つくって、たべて、かんじてほしい」、そんな思いを込めて、平成9年に十谷地区に「つくたべかん」がオープンしました。
食の伝承をコンセプトに、郷土料理「みみ」の提供や、みみづくりの体験教室などを楽しむことができます。
今回は、「十谷郷土料理研究会」のメンバーとしてつくたべかんのオープンに携わった、十谷地区在住の望月忠子さん、望月初美さん、望月ふみ江さんに、みみ作りを指導してもらい、お話をお聞きました。

【みみの由来】
昔、隣村との境界争いがあった時、「ぜひ勝たせてください。勝った時には福箕(ふくみ)を奉納します」と氏神様に約束した。勝たせてもらって、この時から毎年村人たちはつくり続けている。
箕は一種の入れ物であるが、神の神域を表す意味を持っている。
(鰍沢町誌より)

◆「みみ」はとても縁起がいい料理とのことですが、どんなときに作られていますか?
(忠子さん)
子どもの頃は、毎日のように作って食べていてね。今では、作ることが少なくなったけれど、元日の朝食に食べる慣わしがあるんですよ。箕の形は「福をすくう」ということで、一年の幸せを願って作るようになったといわれています。
それから、お客さんが来たり、人が集まるときにも作ります。めずらしいから喜んでもらえるのでね。

◆昔から十谷地区だけで作られていたのですか?
(初美さん)
ほうとうなど、小麦粉を練って作る長細い麺はどこにでもあるけれど、箕の形に作るのは十谷独自なんですよ。
十谷は、ほかの地域と違って水田が少なく、米に代わって主食になる小麦粉が貴重だったので、長細い麺ではなく、一つ一つ丁寧に箕をかたどって作り、大切に食べていたのだと思います。

◆角をつまんだところのもちもちとした食感が特においしく、貴重な食材を活かすための工夫を感じます。また、縁起ものとすることで、一層、食の喜びを感じられますね。
「みみ」をおいしく作るコツはありますか?
(ふみ江さん)
にぼしをたくさん使って出汁を取り、根菜を入れ、具が煮えたら、「みみ」を加えてさらに煮込みます。そして、たっぷりの味噌で仕立てます。大きく切った根菜をじっくり煮込むのがおいしく作るコツです。
ほうとうと違って時間が経ってもあまり煮崩れしないのも良いところです。

◆根菜をたっぷり入れて、味噌で仕立てる「みみ」は栄養バランスもとてもいいですね。
明るくお元気な3人の笑顔とおいしいみみ料理に元気をいただきました。

大きな鍋で煮て、人が集まるときにふるまわれる「みみ」。
手間をおしまず作った料理をみんなで食べる幸せなひとときがあります。
食べた人を笑顔にする「みみ」は、福を呼び込む幸せの郷土料理です。
皆さんもぜひ、つくたべかんで本場の「みみ」を味わってみてください。

▽つくたべかん
住所:十谷2294-7
【電話】20-2020
営業時間:午前10時~午後4時(注文は、午後2時30分まで)
定休日:木曜日(祝祭日の場合は翌日)

富士川町観光物産協会(産業振興課内)
【電話】22-7202