くらし 村長コラム

■木の国木曽を想う
令和七年は、伊勢神宮の式年遷宮の始まりの年に当たります。
伊勢神宮はご存じのとおり、天照大御神を祭る日本の頂点に立つ神社で、20年に一度社殿や御装束・神宝などを全て新しくして大御神に新宮にお遷りいただくお祭りが式年遷宮です。
社殿などを新しくするには御用材が必要となりますが、本年6月3日上松町の小川入国有林において、樹齢およそ300年の木曽ヒノキを切り出す御杣始祭に参列してきました。
当日は大雨に見舞われ、テントの下での参列でしたが、厳かな神事の後、勇壮な「三ツ紐伐り」が行われ、御神木が杣夫の皆さんにより伐倒される姿はまさに神々しいものでした。
さて、このご神木は、木曽(中津川市の通称裏木曽を含む)から切り出すと定められ、祭りが全国放送される中、「木の国木曽」が日本中の注目を集めたことは嬉しい限りです。
木曽の木といえば代名詞はヒノキですが、ヒノキは上松町をはじめとする木曽南部に多く、木祖村を含む北部の主要樹種はカラマツです。
木祖村は国有林と民有林がほぼ半々ですが、カラマツの割合が全森林の約4割と非常に高く、その活用が求められています。
その昔カラマツは、ねじれる、ヤニが出るということから建築用材には不向きで丸太杭などの土木用材として主に使われる事が多かったようですが、最近は、強度に優れ、風合いが美しいとその価値が見直され、ヒノキよりも高値が付くほどになってきました。
そのような背景から、今後のカラマツ材の生産拡大や高付加価値化を目指し、昨年木曽地域にカラマツ活用戦略会議が立ち上がり、大径木は集成材として都市のビル建築用材に、小径木は地元で加工した合板として、これも都市部へ売り込んで行こうという大きな動きが出てきています。
木の国木曽として、ここにある資源を活用し、地域をもっと元気にしていきたいと想いを新たにした一日でした。

木祖村長  奥原秀一