- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県島田市
- 広報紙名 : 広報しまだ 2025年10月号
■誰しも身近に存在する人権。日頃から啓発することで、誰かを救うきっかけになる
島田市人権擁護委員
柿本惠子(かきもとけいこ)さん(川根町家山)
人権擁護委員を務め、今年で16年目となる柿本さん。静岡県人権擁護委員連合会副会長など、さまざまな役割で活動しています。やりがいと経験の蓄積が、さらなる知見を広めています。
●正解の分からない相談業務
教員を退職後、法務大臣から人権擁護委員に委嘱された柿本さん。最初の頃の記憶は今も鮮明に覚えています。
「平成22年に人権擁護委員になりました。私たちの主な役割は、相談・救済・啓発です。もともとは委員一人の活動でしたが、平成23年からは、市内の幼稚園・保育園・小中学校の人権教室、高齢者・障害者施設での出前講座を委員みんなで取り組むようにしました。平成25・26年には、法務局の相談員を経験。一般・女性・子ども相談を対応し、厳しいことを言われることもありました。応えた内容が相談者にとって、本当に適切だったか自問自答して悩むことも。その中でも、『ありがとう』の言葉をもらえることが、とてもうれしかったですね」
●身近に隠れた悩み
普段からマスコットキャラクターなどの人権啓発グッズを身に着ける柿本さん。日頃からの啓発が大切だと話します。
「普段から啓発グッズを身に着けていると、声をかけられることがあるんです。『人権とはね』と一言話すだけでも、啓発につながります。以前、自宅を訪れた業者の人に『人権擁護委員をやってるの』と言うと、彼は息子が不登校になっていることを話してくれました。私は、持っていた支援施設のチラシを渡しました。翌年、彼から『息子が学校に行けるようになりました』と報告を受け、すごくうれしかったです。私の力ではありませんが、少し役に立てた気がしました」
●成長とやりがいの発見
「人権擁護委員には、社会との接点があり、自分のキャリアを生かせる場があります。教師を務めていた私は、人権教室を通じて子どもたちから、元気をもらっています。また、研修では児童養護施設やハンセン病の施設など個人では、見学できないところに行きます。そこで現実を知ることは、人権擁護を教えるものにとって貴重な機会だと感じています。
人権教室ではSNSの使い方など時代に即した講座も行っています。最近は教員対象の人権教室も開催。今の先生たちは、児童生徒に触ることにも気を使っていると思いました。また、市内の学校は、人権ポスターや作文の応募に協力的でありがたいです。これらは関心がないと作れないもの。審査する立場からすると、誇らしいです。一人でも多くの人に人権の理解が広まるように、これからも活動してきたいですね」
人権を身近な存在だと伝える柿本さん。幅広い知見は、地道な活動により多くの人にその大切さを広げています。
