くらし サステナおおぶル 環境パートナーシップ(2)

■Action1 アサギマダラと出会えるまちへ アサギマダラ飛来の拠点づくりプロジェクト
2019年に知多半島をアサギマダラの飛来地にするため、このチョウが好んで吸蜜する植物であるフジバカマを二ツ池セレトナに植栽し、飛来拠点として整備を始めました。フジバカマの育成は、生物に詳しい知多自然観察会からノウハウを学んでいます。
知多半島は元々アサギマダラの南下ルート上に位置していることから、整備を始めた初年度から毎年、飛来するようになりました。そのため、チョウが飛来する10月頃には、市内外から多くの方が二ツ池セレトナを訪れ、優雅に舞う姿を観察しています。

◆環福連携で広がるフジバカマの育成
障がいのある方の社会参画や生きがいづくりの一環として、市内の福祉施設でフジバカマの植栽を行う環福連携の取り組みが広がっています。現在では、(有)新鮮農場おはよう君の敷地内にもフジバカマを植栽中。ボランティアの方は「草取りや水やりなどを通して、地域の方と交流できたことがうれしかった」と話しました。

▽Interview
アサギマダラを待ちながら地域貢献に参加
就職トレーニングセンター 職員 深川麻美さん
地域貢献の一環としてフジバカマの育成を始めました。二ツ池セレトナで行われた植栽講座には利用者の皆さんと一緒に参加し、育成方法を学びました。近隣施設では飛来情報もあるので、ぜひこの場所にも来てほしいです。これからも大切にフジバカマを育てて、みんなでアサギマダラを待ちたいと思います。

▽Interview
フジバカマの美しさで笑顔とチョウを呼びたい
(有)新鮮農場おはよう君 代表取締役 浅田穣さん
最初はフジバカマもアサギマダラも知りませんでしたが、花の美しさに惹かれて植え始めました。福祉施設の利用者の皆さんが丁寧に楽しそうに作業していたのが印象的でした。この場所にもアサギマダラが来てくれることを願い、来年は植栽範囲を広げ、希望者には苗をプレゼントしていきたいです。

◆福祉施設で香り袋づくりを開始
フジバカマは、サクラと同じくクマリンという芳香成分を葉などに含んでいます。至学館大学生を対象に実施したアンケートでは、多くの人が「落ち着く香り」という印象を持っていることが分かりました。そのため、市内の福祉施設では、利用者が乾燥させたフジバカマの葉を活用し、香り袋を製作する取り組みを始めています。

■Action2 「もったいない」を「ありがとう」に フードドライブ活動
市内では、社会福祉協議会と子育て支援サークル「あそびのいっぽ」が連携し、市民や事業者からの寄付などを活用して、ひとり親家庭や生活困窮家庭に食料支援を行っています。市民からの寄付は、市内12カ所に設置する常設窓口や公民館・自治区のイベントでの臨時窓口において、家庭で不要となった未開封の食品を受け付けています。寄付された食品は、必要としている方々に届けられ、日々の生活を支える大きな力となっています。
2024年7月からは、(株)ファミリーマートと連携して「ファミマフードドライブ」を開始。現在市内6店舗に寄付ボックスを設置し、より身近な場所で気軽に寄付できる拠点を増やすことで、支援の輪を広げています。

▽Interview
思いの詰まった食品を必要としている方へ届けたい
桃陵高等学校 山口音さん
桃陵高等学校では、毎年文化祭のPTA企画としてフードドライブ活動を行っています。「困っている人たちを少しでも助けたい」との思いで呼び掛けたところ、多くの方が快く協力してくださり、温かい気持ちを感じました。皆さんの思いが詰まった食品が、一人でも多くの方の支えになればうれしいです。

◆フードドライブを生かした支援
子育て支援サークル「あそびのいっぽ」では、子育て中の母親が気軽に集える憩いの場として「ママのための寄り添いcafe」を開催しています。さらに、自主勉強に取り組むこどもたちを応援する「夜食セルフcafetime」や中高生の交流の場「中高生サロン」も定期的に開催。フードドライブで集めた飲食物を提供し、食品ロス削減にもつながっています。

▽Interview
未来に希望を持ち、楽しみながら成長してほしい
子育て支援サークルあそびのいっぽ 代表 大橋房代さん
小学校の相談員として働く中で、コロナ禍により、こどもたちの遊びや行事が制限され、楽しい時間が減っていると感じました。そんなこどもたちに「放課後も楽しかったと思える時間を届けたい」との思いで、中高生サロンを始めました。活動で出たごみの分別や生ごみをコンポストで堆肥化するなど、エコ活動にも取り組んでいます。コロナ禍以降、10代の自死率は上昇し、高い水準が続いています。「生きていてよかった」「未来が楽しみ」と感じられるきっかけを届けられたらうれしいです。