くらし まちかどキラリ

佐野 健治さん(本町)


平成16年に「夢想工房」を立ち上げ、障がい者の就労を支援する心身障害者施設(現在の就労継続支援B型事業所)を市内に初めて開所。「学校卒業後、すぐに就職できない人や就職したが解雇された人たちが、自立に向けてゆっくりと頑張れる場所をつくりたかった。職員と利用者が同じ目線に立ち、時には温かく、時には厳しく接してきました」と佐野さん。それはひとえに、利用者が、さまざまなことにチャレンジすることで、生きがいを見い出してほしいとの願いからです。
リーフレタスなどの水耕栽培で農業と福祉の連携に先駆けて取り組んできたほか、職員と一緒に三重とこわか大会2021(未開催)にあわせバレーボールチームを立ち上げ、令和17年に三重県で開催予定の第89回国民スポーツ大会に向け、練習に励んでいます。
自立した生活に必要な力を培ってほしいとの思いから、通所は親の送迎ではなく、バスなどで通うことをルールとしましたが、共働き家庭の定着化に伴う送迎希望や安全面の優先などにより通所人数は減少。そのような中、これまで20人以上を就労につなげたなど一定の役割を果たしたとして、今年3月、就労継続支援B型事業に幕を下ろしました。
現在、夢想工房は、市の参加支援事業に登録され、活動中です。「今年3月まで不登校だった生徒が、ここでは休まず通えるようになって、今は市内の飲食店でアルバイトしているんだよ」と目を細める佐野さん。「働くことが難しい制度のはざまの人へ、何度でも就労にチャレンジできる居場所がここにもあることを知ってほしい」。佐野さんの挑戦は、これからも続きます。