くらし ペンリレー No.230

■お菓子で笑顔を届けたい
橋本 優さん(井田)

私は兵庫県明石市出身で、20歳から17年間、神戸の洋菓子店で修業し、独立を機に、妻の実家がある熊野市に引っ越しました。
その後出店しようと場所を探したのですが、土地勘がなく困っていたところ、ウミガメ公園の方と縁ができたのがきっかけで、商工会の方や、役場の方にも親身に相談に乗っていただきました。何よりも、目の前に熊野灘が広がり、後方に大烏帽子山がそびえ立つ環境に魅かれ、井田地区に出店を決意し、住まいもこちらに移しました。
当時、3人の子どもたちはまだ幼かったので、不安もありましたが、近所の方々にとても温かく迎え入れてもらえ、色々と助けていただいたおかげで、日々楽しく過ごさせてもらっています。
忘れもしない開店日は、なんと台風と重なってしまい、不安を抱えながらのオープンでした。悪天候にもかかわらず、たくさんのお客様にご来店いただき、驚きと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
あれから、今年の8月で10周年を迎えます。嬉しかったことは、紀宝町の保育園児のなりたい職業で、パティシエが増えたと聞いたことです。いつか私の作ったお菓子を食べてくれた子どもたちと、一緒に厨房に立てる日がきたらいいなぁ、なんて思います。また、お客様から「ここで、店を開いてくれてありがとう」と言っていただくこともあり、改めて、たくさんの方々からの支えがあって、店を続けさせていただいているのだと実感しています。
「お菓子を好きなあなたが幸せでありますように」これは、私が修業した店の社訓で、私の好きな言葉です。これからも、誕生日やお祝い事にはもちろん、悲しいときにも寄り添って、クリスマスにはサンタクロースの気持ちで、お菓子で笑顔を届けられるようにがんばっていきます。

PROFILE
はしもと ゆうさん
井田地区で洋菓子店を開いている橋本さん。「お菓子を通してひとりでも多くの人に笑顔を届けられるとうれしいですね」と話していました。

◎5月号は井田の仲(なか)裕之(ひろゆき)さんです。橋本さんからは、「いつもありがとうございます。これからも、よろしくお願いします」