- 発行日 :
- 自治体名 : 滋賀県愛荘町
- 広報紙名 : 広報あいしょう 2025年11月号
■「思いやり」と無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)
私たちは、家族の中や学校の道徳で「思いやり」の心を持つことの大切さを学んできました。しかし、ふと今日までを振りかえると、思いやりが自分にとっては「ありがた迷惑」であったり、こんなに思いやりを持って向き合っているのに「余計なお世話」と捉えられたり、これだけしてやったのに「お礼の言葉」もないと、怒りを覚えることはありませんでしたか。
「思いやり」とは、相手の思いに寄り添った言動ですが、しばし食い違うことがあります。相手が望んでもいないのに、自分の思い込みで、相手はきっとこんな思いでいることに違いないと、行動を起こしてしまい、逆に相手に気を遣わせたり、距離を置かれたりすることもしばしばあります。
また、「押売り的な思いやり」で、「私はこれまで貴方に尽くしてやってるのに、お礼の言葉もない」等、自己の利害感や序列意識の中で思いやりが利用され、相手が呆れて疎遠になることもあります。損得や勝ち負け、序列意識は人間の心の中に、必ずと言っていいほど存在するものですが、そんな自分に気づかない人も多いのではないでしょうか。「思いやり」と「無償の愛」が同じだとは言い切れませんが、相手を大切にしていく視点として考えることもでき、「愛情」「思いやり」とは同じような領域にあるものなのでしょう。
無償の愛の定義「無償」とは、見返りや損得がないことを意味し、対価を払わないというニュアンスを含みます。
英語では「unconditional love(無条件の愛)」と表現されます。これは、利益を一切考えずに相手に注ぐ愛情を指します。
▽無償の愛を感じる瞬間
・弱っているときに支えてくれたとき
・短所やだめなところを受け止めてくれたとき
・家族や友人を大切にしてくれたとき
・自分を犠牲にして行動してくれたとき
・要望に応え続けてくれたとき
・見返りを求めず、自分の幸せを心から願ってくれるとき
・どんな時も味方でいてくれるとき
▽無償の愛を与える人の特徴
・見返りを求めない、自分が犠牲になれる
・一生その人だけを愛する
・いつでも味方でいる
・相手の生存を助ける
・損得勘定を抜きにして献身的に動く
今日の社会は、「経済と時間の効率化」が最優先される社会で、個性化を大切にした結果、自治会の未加入者、老人会、PTA、子ども会育成会等、今日までの既存団体が目標設定や改革ができず、衰退の方向に向き、家族や地域のコミュニケーションが弱体化傾向にあります。
その結果、孤立や居場所の無い人々等、近隣で気になる人々も増加の傾向にあります。「お互い様」で利害のないお付き合いを大切にし、家庭や地域の人間関係を重視し、「皆のために尽くす気持ち」がなければ、これからは、更に厳しい人間関係が増幅し、負の遺産を子どもたちに残すことになります。
私からはじめる、「相手の側に寄り添った思いやり」「無償の愛」「お互い様」「個々の主体性の尊重」「協働:一緒に汗をかく」等が、これからの愛荘町の家庭づくり、地域づくりといった多様な共生社会づくりのKeywordになってくるのではないでしょうか。
あと、自己の「無意識の思い込み」が、他者を苦しめていたり、個々の主体性を奪っていたりすることも自覚していく必要があります。
問4:人の役に立つ人間になりたいと思いますか。(○は1つ)

小6:「思う」と「どちらかと言えば思う」で96.3%
中3:「思う」と「どちらかと言えば思う」で95.8%
「人の役に立つ人間になりたい」と大半の子どもたちが思いを持っているのに自己肯定感は低い、これを言い換えると、家庭や地域、学校等の様々な場面で、「大人が子どもたちを一人の人格者として活動を託し、子どもたちの主体性を尊重していく必要があると読み取ることもできます。また、子どもたちの可能性を、大人が奪っていないか、子どもの発達に応じて任せていく大人の姿勢が問われています。」近年少子化や生活文化の向上で、子どもに向き合う大人の姿勢がどんどん崩れてきて居場所に困る子どもたちも増加してきています。
令和4年度愛荘町人権意識調査から
問合せ:
愛荘町人権教育推進協議会
(事務局)教育委員会生涯学習課【電話】0749-42-8015【FAX】0749-42-8014
