くらし 特集 心に響く、美しい歌声(3)

ー帰ってきてからの生活も高槻で?
▽「はい。帰ってきてすぐ、『ありがとうイタリア』というリサイタルを[高槻現代劇場]中ホールで開催したんですよ。その後も高槻ではさまざまな演奏会に出演させてもらっていますが、この中ホールの響きは特に気に入っています。このホールでの演奏会の録音のおかげで、留学するための奨学金もいただくことができました!」

ー高槻のホールが生みだしたイタリア留学だったんですね。帰国後は、平安女学院大学や京都教育大学、母校の大阪音楽大学などで教壇に立たれてお忙しくなるのですが、ご自身の演奏活動は続けられたのですか?
▽「そうですね。多い時は月に2,3回ほどオペラやコンサートの本番がありました。けれど新型コロナの影響で少し減り、今は大学勤務とのバランスも考えて、年間5~10回ほどです。今年は、9月に[帝国ホテル大阪]のチャペルで、10月に[京都堀川音楽高等学校音楽ホール]でコンサートをする予定です」

■本当に好きな高槻が、どんどんよくなっている。
ーそれは楽しみですね。田邉さんの歌声を聞く機会をどんどん増やしてほしいですが、高槻では予定はありますか?
▽「今年は予定はないのですが、来年が声楽家としてのデビュー20周年になるので、ぜひ高槻でリサイタルをしたいですね。[高槻城公園芸術文化劇場南館]というすばらしい施設ができて、高槻市少年少女合唱団もトリシマホールや太陽ファルマテックホールで公演をしましたが、どちらもとてもよいホールでした」

ーぜひ実現してほしいです。高槻でずっと暮らしてきて、この街の魅力はどういうところにあると思いますか?
▽「自然を求めれば、街から少し離れただけで山も温泉もあるし、ほどよく都会で便利。JRも阪急も通っていて交通の便もいい。おいしいものもいっぱいで、よく食べ歩きもします。子どもや女性に対しての施策もいいし、安満遺跡公園ができてみんなが集える場所もでき、高槻はどんどん良くなっているなぁと思います。音楽活動においても、私の小さい頃や大学生の頃から応援してくださっている地元の方々がコンサートに来てくださいますし。高槻はとても住みやすい大好きな街です」

ー街の魅力がますます広がっていってますね。最後に、歌が持つ魅力を教えてください。
▽「誰しも人生のさまざまな場面で思い出の歌があると思うんですね。その歌を聞くと当時の自分に戻ったり、その時の感情さえも思い起こしたり。歌によって励まされたり、希望、勇気を持てて、直接心に響き動かす力を持っている。深く豊かに私たちの心をつないでくれるものだから、その喜びを感じながら、今も歌い続けています」