くらし 特集 自然がくれるおくりもの(1)

Takatsuki Honey
■高槻のはちみつは、自然からのおくりもの
自然のなかに置かれたみつばちの巣箱。
みつばちは半径2~3kmにある花から蜜を集めてくる。
高槻のはちみつは野山に咲く花から生まれている。

・サクラ
3月下旬から4月上旬、市内各所で咲く。中旬からはヤマザクラやカスミサクラが

・セイヨウカラシナ
「菜の花ロード」ともいわれる三島江地区での群生をはじめ、河川敷や野原で3~4月に開花

・フジ
4月中旬から神社や公園で棚咲きする。下旬には山間部に野生のヤマフジが

・レンゲ
田んぼやあぜで4月下旬から5月に咲く。水田の減少や耕作方法の変化で減り、今では希少な蜜源に

・ネズミモチ
6~7月、北部の雑木林で咲く。クロガネモチ、トウネズミモチなど種類も多い

・シロツメクサ(クローバー)
5~6月、公園や河川敷、野原に群生。アカツメクサ(レッドクローバー)が咲く場所も

・ユリノキ
公園や街路樹、山などに5月中旬から下旬に咲く、香りが強く大きな花

・ヘアリーベッチ
4月下旬から5月下旬、河川敷や野原に群生する。レンゲと同じマメ科の花

・ハゼノキ
山や野原に自生。種類が多く、5月中旬から7月まで花期に応じて順に咲いていく

◇みつばちが飛び回る風景は豊かな野山がある証拠
市街地でも、少し歩けば花が咲く草むらや河原がある高槻。中心部から車で15~20分で渓流が美しい山もある。そんな環境が育むもののひとつが、はちみつだ。はちみつをつくるみつばちは、花の蜜とともに花粉を運ぶことで植物の受粉を支える大切な存在。みつばちがいなければ、世界の約3分の1の農作物が失われるともいわれている。
蜜源となる植物は、その土地の生物が多様であることを示すバロメーター。たくさんの蜜源植物が自生する高槻のはちみつは、自然の恵みであると同時に、生きものたちのつながりの証でもある。

Takatsuki Honey
■はちみつの味や香りは、蜜源の花によって生まれます
◇四季折々の花が育む天然の味わい
高槻にある養蜂場では、その時に採れるさまざまな花の蜜が混ざった百花蜜を中心に、特定の花から採れる単花蜜など多彩なはちみつがつくられている。採蜜シーズンは、花がもっとも多く咲く春から初夏。単花蜜はこの頃に採れやすいようだ。
はちみつは、花の種類によって味や香り、色合いが違う。同じ花でも採れた場所や季節などによって少しずつ変わるらしく、想像以上に奥深い。ひとさじのはちみつに映るのは、高槻の四季や風土、そしてその年だけの風景。養蜂場ごとの個性も凝縮されている。

◆はちみつの色と風味の傾向
○うすい色のはちみつ
透明感のある淡い色のはちみつは、サクラ、セイヨウカラシナ、レンゲ、フジ、ヘアリーベッチなど春の花から採れたものが多い。クセが少なく甘みは軽やか、香りもやさしく、さらりとした口当たりでさっぱりした味わい。初心者にも食べやすく、料理や飲みもの、デザートなど何にでも使いやすい。トーストやヨーグルトにかけたり、紅茶などに入れたりするのもおすすめ。

○中間色のはちみつ
アカシア、ユリノキ、ハゼノキ、エゴノキ、シロツメクサ、ノバラなどによる晩春から初夏にかけてのはちみつは、明るい琥珀(こはく)色や山吹色。味わいはまろやかでクセが少なく、ほんのり花の香りが。粘度もほどよく、風味と甘みのバランスがよく料理全般に。ハニーバタートーストやハニーコーヒーにしても。

○濃い色のはちみつ
6月以降も咲くトチノキ、ネズミモチやソヨゴなどモチノキ系の花、ヒマワリ、イタドリなどによるはちみつは深い琥珀色や赤褐色で、採蜜後の保存中にも、さらに色と風味が深まる。ミネラルが多く、香りも味わいも濃厚で深みやコクがあり、わずかにスモーキーさを感じるものも。ナッツやチーズとの相性がよく、黒パンや肉料理のソースに向く。
※保存期間が長くなったはちみつも、本来の色から濃く変化する

・1匹のみつばちが一生に集める蜜の量はわずかティースプーン1杯だとか!
・はちみつは甘みが強いのに、カロリー控えめ!

◆はちみつは健康の強い味方!
はちみつは数多くの栄養成分がバランスよく含まれ、古くから天然の健康食として活用されてきた。風邪などによるのどの痛みを癒してくれるほか、消化吸収に優れているため、体力が落ちた時や運動後の栄養補給、疲労回復、また腸内環境を整えるのにも役立つのだそう。