- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県川西市
- 広報紙名 : 広報かわにし milife 令和7年3月号
■課題がある合理的配慮
◇インクルーシブではなかった学校と社会を変えるために
「どんなことがきっかけで、障がいのある人に関わるようになったんですか」と尋ねられることがあります。そんな時私は、「25歳の時、学園祭で車いすに乗っている友達ができて…」というエピソードを話してきました。
ある時、「それ以前は、学校に障がいのある同級生はいなかったの」と言われ、言葉に詰まりました。全く思い浮かばないのです。市立多田小・中学校、県立川西北陵高校と公立校で学んできましたが、小学校に「〇〇学級」(担任の先生の名前を冠した特別支援学級)があった記憶はうっすらあるものの、それだけです。私の同年代でも障がいのある子はいたはずなのですが…。
日本では戦後、ろう学校、盲学校、養護学校の設置が義務化されましたが、それは障がいの有無によって就学先を分ける「分離教育」の始まりでもありました。
現在、世界の主流はインクルーシブ教育(排除なくともに学ぶ教育)に向かっています。障がいのある子どもも地域の学校で、必要な合理的配慮(バリアを取り除く環境調整)を受けながら学べるようにすることを障がい者権利条約も求めていますが、実現にはまだまだ課題があります。
合理的配慮は、多様な人が共に生きていくための基本的な「道具」です。学校・職場・地域のあらゆる場に、多様な人が当たり前に参加できるよう、合理的配慮の考え方が定着することを願っています。
(公財)世界人権問題研究センター研究員 松波めぐみ
問合せ:人権推進多文化共生課
【電話】072-740-1150