くらし 〔Column〕生きる

■「布団星人」から見る社会
◇生きづらさと付き合うヒントを見つける機会に
私は、自分のことを「布団星人」と呼んでいます。抱えている病気のために、週の3分の1ほどは必ず布団の上で過ごし、自分をメンテナンスしないと最低限の日常生活を送ることすら難しいからです。私の毎日は、不可解な症状のオンパレード。布団に全身がめり込みそうな激しい疲労感。日替わりで体中を襲うさまざまな痛み。少し忙しくすると、全身に出てくるじんましんなど。いくつかの病名はカルテに書いてありますが、どの症状がどの病気かは明確に分けられません。
このような生活になってから今年で20年目です。発症当時は市内で小学校の先生をしていました。最初の数年は「何とかして病気を治して学校に戻ろう」と必死でした。しかし、自分の体に起こっていることを勉強したり、さまざまな治療を試したりする中で「私の身体は元に戻らないかもしれない、それなら、今のあるがままの自分にできることをこれから新たに始めたらいいじゃないか」と思うようになりました。
そして、もぞもぞと布団の星からはい出して、患者会活動や地域での学習支援ボランティアなどを始めて、今に至ります。
私の日常と共に、このような体になったからこそ気付くことや困っていることを発信し、読者の皆さんと共有することで、新たな社会の見え方やさまざまな生きづらさと付き合うヒントを発見できるかもしれません。1年間という短い間ですが、ぼちぼちとお付き合いください。
NPO法人大阪難病連事務局長 尾下葉子

問合せ:人権推進多文化共生課
【電話】072-740-1150