くらし 3月定例市議会報告(3)

■「さかな」「鬼太郎」「港」を生かしたまちづくり
◆水産業の振興
境漁港における令和6年の水揚量は、前年比4・6%増の12万5千トン余で全国第3位、水揚金額は、前年比2・4%減の239億円余で、全国第4位となり、2年連続で12万トン・230億円を上回り、好調を維持しております。
クロマグロの令和7年漁獲枠が増えることに加え、マイワシの資源が回復傾向にあることから、境漁港における今後の水揚量のさらなる増加を期待しているところであります。
しかしながら、近年、加工施設や冷凍冷蔵施設の老朽化等により、陸上の処理能力が低下してきており、1日当たりの水揚量が制限されるなど、新たな課題が生じております。
資源回復に対応した陸上の処理能力を確保するため、民間企業の冷凍冷蔵施設の更新に係る補助制度の拡充について、国に要望を行うなど、鳥取県や水産業界と一丸となって取り組んでいるところであります。令和7年度においても引き続き、国等への要望を続けるとともに、安全と安心が向上した、おいしくて品質の良い「産地境港」の水産物を、国内外の消費者に届けるため、積極的に情報発信してまいります。
国際貢献の一環として始まった「技能実習制度」につきましては、昨年6月に法改正が行われ、人手が不足している分野の人材育成と人材確保を目的とする「育成就労制度」が3年以内に施行されることが決まりました。
外国人材は、基幹産業である水産業を初め、市内企業においても欠かせない存在となっています。この制度改正が市内企業に与える影響や課題について、昨年10月に、境港商工会議所において、水産関係企業及び監理団体と政策懇談会を開催し、意見交換を行いました。
今後におきましては、「育成就労制度」への移行に備え、市内企業等と定期的な懇談会を開催するなど、状況把握や情報共有に努め、市としての施策を検討するとともに、国や県に要望も行いながら、安定的に人材確保が図られるよう準備を進めてまいります。

◆農業振興
基幹作物である白ねぎにつきましては、本年度に引き続き、「弓浜地区白ねぎ産地の生産振興プラン」に基づき、収穫・出荷作業の効率化や作業の負担軽減を図るために機械導入の支援を行うなど、生産者・鳥取西部農業協同組合・行政が一丸となった取組により、西日本一の白ねぎ産地を目指してまいります。
弓浜干拓地の営農基盤の強化につきましては、令和4年度から、中海干拓地営農組合が行う輪作営農に加え、排水や耕作条件の改善などの取組に支援を行っており、引き続き、圃場の石礫(れき)除去や緑肥栽培などを実施してまいります。
また、荒廃農地対策につきましては、昨年5月からバイオマス発電の燃料として利用可能な早生樹の試験栽培を行っており、約9カ月が経過した先月末の平均樹高は約1メートル、大きいものは約2メートルで、概ね順調に生育しております。
令和7年度は、新たな栽培条件で追加の植樹を行うこととしており、引き続き、生育データ等を分析しながら、バイオマス発電事業者と連携し、事業化に向けた検証を行ってまいります。

■観光振興
水木しげるロードにつきましては、「ゲゲゲの広場」のオープンや「水木しげる記念館」のリニューアルオープンなどにより、昨年の年間入込客数が5年ぶりに200万人を突破しました。
特に映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」の大ヒットは、新たなファン層の獲得にもつながっています。また、本年秋には、小泉八雲の妻・セツをモデルとしたNHK連続ドラマ小説「ばけばけ」の放映が決まったことから、「水木しげる記念館」、松江市の「小泉八雲記念館」、広島県三次市の「三次もののけミュージアム」の「もののけ3館」で、これまで取り組んできた周遊事業に引き続き取り組むとともに、中海・宍道湖・大山圏域観光局においても、ドラマを生かした周遊事業を計画しているところであります。
このほか、4月13日には大阪・関西万博が開幕し、5月29日には米子市で日台観光サミットが開催されることから、鳥取県や圏域観光局など関係機関と連携し、さらなる誘客を図ってまいります。
また、本年は、みなと祭が80回目の節目を迎えることから、本市にゆかりのあるミュージシャンなどを招いた前夜祭や、例年よりも規模を拡大した花火大会の開催など、大いに盛り上げたいと考えております。
水木しげる先生の戦争体験をもとにした平和学習プログラムにつきましては、4月に大阪の中学校が受講を予定するなど、旅行代理店との商談の成果が少しずつ現れ始めており、引き続き、教育旅行の誘客ツールとして活用を図ってまいります。
また、令和7年度は、市内小学校の校外学習での活用を予定しており、あわせて、中海・宍道湖・大山圏域の小中学校にも働きかけ、水木しげる記念館を地元の子どもたちの学びの場として、しっかりと活用してまいります。
空の玄関口である米子鬼太郎空港におきましては、令和5年10月に運航を再開した米子ソウル便は、平均搭乗率が80%を超え、好調を維持しております。昨年10月に再開した米子香港便は12月の搭乗率が70%を超えましたが、利用促進がまだまだ必要な状況にあります。
5月の日台観光サミットにあわせて、台湾からの定期チャーター便の就航も予定されており、今月から、米子市と共同で、香港・台湾向けの訪日観光情報サイトへの記事の掲載やSNSによる情報発信を開始したところであります。
海の玄関口である境港におきましては、本年は、昨年を上回る43回のクルーズ客船の寄港が見込まれており、昨年8月に再開した日韓定期貨客船の利用促進も図りながら、さらなる賑わいの創出を図ってまいります。