- 発行日 :
- 自治体名 : 島根県邑南町
- 広報紙名 : 広報おおなん 令和7年6月号
Eerolla on asiaa
フィンランド出身国際交流員による、フィンランドや邑南町の話
■第21回 フィンランドの教育(2)「フィンランドの高校と職業学校」
前回はフィンランドの小中学校を紹介し、今回は高等学校と職業学校を紹介したいと思います。フィンランドは義務教育が7~17歳の11年間です。中学校卒業後は、高等学校か職業学校に進みます。生徒の5割超は高校に進みますが、4割くらいは職業学校に進みます。また、残りの6~8%はそのどちらかに進むための追加の1年に入ります。
▽選択科目、知識を応用する課題を重視
フィンランドと日本の高校は学習の内容が似ていますが、教育の形とやり方は多方面で違います。各科目の必須コンテンツは高校課程の3分の2だけです。残りの選択的科目は理系か文系に限らず、好きな科目を選んで自分の課程を組み合わせます。
例えば、私(えーろ)の場合は、まず数学、心理学、スペイン語、物理を中心に課程を組み、2年目で物理をやめ、音楽等を追加しました。高校の期末試験は必須科目が5つあり(母語と次の4カテゴリーから自由に4つ:第2国語(スウェーデン語)、数学、外国語と理系/文系の科目)、そして進学を考えながら、選択的な科目を追加します。
宿題の量は日本より少ないですが、長期プロジェクトとプレゼン、知識を応用する課題は比較的に多いです。
ちなみに3年生は期末試験勉強のために通学をやめ、2月中旬から家、学校の図書館、または公共図書館などで自由に受験勉強をします。生徒の学習の視点から、自由度は比較的に高い教育のスタイルなのではないでしょうか。
▽フィンランドの職業学校について
職業学校では、基本的な知識を学び、学生がその職業に就くための準備を促すとともに、さらなる学習、趣味、個人の成長に役立つ重要な知識とスキルも提供します。
見習い訓練、職場での実習などを通じて複数の分野で、様々な職業を中心に勉強することができます。
職業学校は中学校から直接、または高校を卒業してから入学できます。なお、職業学校の卒業生は、すぐに就職するだけでなく、応用科学大学と大学に進学することも可能です。
また、多くの自治体では、高校と職業学習の両方を同時に修了できる機会が与えられています。並行学習はだいたい4年間ほど続き、最後に高校期末試験と職業資格試験の両方を完了することになります。
▽フィンランドの生涯学習
中高等教育の柔軟な学びの進路は、学生が学位取得後も、仕事と学習を両立しやすくしており、生涯学習は若い頃から住民に提供できるようになります。
なお、成人の時に高校学習を受けるという別の可能性が与えられる点では、若い生徒が感じる決まった進路のプレッシャーも少しなくなります。
イノベーションの国・フィンランドの教育制度は、自分の幅広い可能性と夢を実現できるために高品質の教育が与えられるために構成されたと見えます。
このような教育を受けた人材こそが面白いアイデアを生み出すことや未来のニーズに新しい解決を追求することができるのではないでしょうか。