くらし 揺らぎ始めた“あたりまえ” 水道のこれからを考えてみた(1)

毎日の暮らしに、なくてはならない「水」。料理に洗濯、お風呂や歯磨き――。蛇口をひねれば、いつでもきれいな水が出るのが、私たちには「あたりまえ」の光景です。
しかし、その「あたりまえ」が、今、大きな転換期を迎えています。
明治39年、全国で9番目に給水を開始した下関市の水道事業。施設や水道管は老朽化し、人口減少により水道料金収入も減っていく中、水道サービスをこれからも守り続けていくためには、大きな課題に向き合わなければなりません。
今こそ、市民の皆さん一人ひとりに、水道事業の現実を知っていただきたい。今月は、下関市の水道の「これまで」と「いま」、そして「これから」を特集します。

■下関市の水道の特徴
下関市には12カ所の浄水場があり、水源から取り入れた水をきれいにしています。きれいにした水は、ポンプ場を通じて山の上などの高い所に設置している配水場に一時的に貯められ、自然流下で各家庭に送られます。
下関市は面積が広く、起伏が多い地形であるため、ポンプ場が59カ所、配水場が60カ所と平地が多い市町村に比べて、たくさんの施設が必要です。

■下関市水道事業のあゆみ
▽明治22年
市制施行、赤間関市となる

▽明治24年
英国人技師・W.K.バルトンが上水道布設調査開始

▽明治35年
「下関市」に改称

▽明治39年
日本で9番目の近代水道として給水開始

▽昭和4年
内日第二貯水池、日和山浄水場完成

▽昭和21年
長府浄水場完成

▽昭和30年
木屋川ダム完成
日量10万8千立方メートルの受水が可能に

▽昭和43年
蓋井島簡易水道給水開始

▽昭和56年
六連島へ海底送水管を布設し給水開始

▽平成3年
湯の原ダム完成
日量3万立方メートルの取水が可能に

▽平成5年
水の情報誌「ウォータートーク」創刊

▽平成6年
豊浦町へ分水開始
大渇水(自主節水期間237日)

▽平成10年
内日第一貯水池取水塔など、9つの水道施設が登録有形文化財となる

▽平成13年
「あぁ!関露水」500ミリリットル製作

▽平成14年
平成6年以来の大渇水
災害備蓄用に「あぁ!関露水」2リットル製作

▽平成17年
1市4町合併に伴い給水区域拡大

▽平成18年
給水開始100周年を迎える

▽平成20年
蓋井島へ海底送水管を布設し給水開始

▽平成22年
水道GLP認定取得(山口県内で初)

▽令和7年
「上下水道局中長期ビジョン(経営戦略)」を策定