文化 すまいる~可能性の種をまき花が咲き誇るように

■Vol.193藤谷 光信(ふじたにこうしん)さん(川西在住)
宇野千代さんの菩提寺の住職。岩国市文化協会の名誉会長や認定こども園の学園長、人権教育・啓発の講師など幅広く活動している。
旭日中綬章・藍綬褒章受章、山口県教育功労者表彰、岩国市文化協会文化功労賞受賞。参議院議員(1期6 年)を務めた。

「私の活動を通して、みなさんが新たな可能性を見つけるきっかけになれば嬉しい」と話すのは、文化活動、幼児教育、人権教育・啓発などさまざまな活動を行っている藤谷光信さんです。
岩国市文化協会の名誉会長を務める藤谷さんは、大学生の時に演劇を始めて、23歳で岩国で劇団を結成しました。
「劇団を作って65年。県内の小・中・高校で演劇を見せる活動を続けて、30年になります。演劇はみんなで楽しむことはもちろん大切ですが、新たな可能性を示してより良い方向に引っ張っていく力もあると思っています」
そんな藤谷さんは、幼年期の教育が大事だと考え、伸び伸びといろいろな経験をさせて子供たちの可能性を広げていきたいと、30歳の時に市内で幼稚園を設立します。
「幼稚園ではバイオリンや劇遊びなど、子供たちがさまざまな体験や表現ができるように工夫しています。そこから何か新たな発見をしたり、素直で思いやりのある人になってくれたりしたら嬉しいですね」と幼児教育への思いを語ります。
また人権教育・啓発の講師としても活動している藤谷さん。講義の時には、親交の深かった宇野千代さんのエピソードを話すようにしているそうです。
「私から見た千代さんは、自分の生き方に真っ直ぐな人でした。波乱に富んだ人生を歩んだため、故郷には戻らず生家を処分したいと相談されたんです。岩国には千代さんを尊敬している人や懐かしく思う人がいるので、女流作家の生家として残していくべきだと進言しました。それを機に千代さんは岩国に戻り、みなさんに温かく支えられ、岩国が日本一の故郷だと感謝していました」と話す藤谷さん。
藤谷さんは、宇野千代さんとの関わりや多様な活動を通して「根気よく続けていくこと、固定観念をもたずに新たな可能性を模索することが大切だと思います。元気な限りこれからもいろんな活動を続けていきます」と優しい笑顔で、力強く話してくれました。