- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県岩国市
- 広報紙名 : 広報いわくに 令和7年8月1日号
●熱中症にご注意を
毎年、夏の訪れとともに増えてくるのが「熱中症」です。これは高温多湿の環境に身体がうまく適応できず、体温の調整機能が破綻することで引き起こされる状態を指します。医療の現場でも、この時期になると軽症から重症まで、さまざまな熱中症患者の来院があります。
私たちの体には、本来体温を一定に保つ優れた仕組みがあります。気温が上がれば汗をかいたり、血管を拡張させたりして、体の熱を外へ逃がす働きをします。しかし湿度が高く風通しが悪い環境では、汗が蒸発せず、熱がこもりやすくなります。その結果、体温調節がうまくいかず、熱中症を発症するのです。
症状は、軽度ではめまい、立ちくらみ、筋肉のけいれんなどから始まり、中等度では吐き気、強い倦怠感、頭痛が見られます。重症になると意識の混濁、けいれん、歩行困難など命に関わる状態に至ることもあります。
高齢者では、こうした典型的な症状が出にくく、なんとなく元気がない、いつもと様子が違うといった変化に周囲が気付くことが、発見の手掛かりになります。
万が一、熱中症の疑いがある場合は、まずは涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて安静を保ちましょう。その上で水分と塩分を補給してください。大量に汗をかいた際には、経口補水液や塩分を含む飲料が適しています。自力で水分を摂れない、吐き気が強い、意識がもうろうとしている場合には、ためらわずに医療機関を受診してください。
熱中症で何よりも大切なのは予防です。外出時には帽子や日傘を活用し、こまめな水分補給を心掛けましょう。また屋内でも熱中症は起こります。冷房を適切に使用し、室温を28度以下に保つことが望ましいとされています。我慢をせず、快適な環境を整えることが自身の健康を守る第一歩です。
熱中症は、正しい知識と対策によって防ぐことができます。体調に気を配りながら、安心・安全な夏を過ごしましょう。
〔岩国市医師会〕