- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県内子町
- 広報紙名 : 広報uchiko 2025年7月号
こつこつ、まっすぐ歩む職人の道
■久保 薫(かおる)さん(29)〔内子17〕
天神産紙工場で大きな簾桁(すけた)を動かし、和紙をすくのは久保薫さん。手すき和紙職人を目指して、町外から内子町へ移住してきました。先輩に手ほどきを受けながら腕を磨き、今年で3回目の夏を迎えます。
「伝統工芸の世界に憧れてこの道を選んだ」と話す久保さん。これまでは乾燥作業が中心でしたが、昨冬から念願の大型和紙すきに挑戦中です。「力加減が難しく、同じ厚さにすくのは本当に大変。でも、こつこつ経験を積んで早く感覚をつかみたい」と熱心に手を動かし続けます。職場では分からないことは先輩が優しく教えてくれ、休憩中にはみんなでおしゃべりをするなど、アットホームな雰囲気。久保さんはそんな温かい職場が大好きだとほほ笑みます。
「素朴で優しい風合いや手作りの温かみを感じられるのが手すき和紙の魅力」と語る久保さん。「作り手になって、和紙には手間暇を惜しまぬ職人の思いがたくさん詰まっていることを知り、より愛着がわいた。和紙にときめく気持ちを大事にしながら、このまちで一人前の職人になりたい」と目を輝かせました。