くらし FROM ME TO YOU みんなでつないでリレーエッセイ

「ファーストペンギン」
藤澤 智(とも)さん(40)〔成内〕

小学生の時に教室の本棚にあった一冊の本の内容を、大人になっても忘れないままでいました。昭和の時代に知的障がいのある子どもを出産した母親の、育児から始まり親同士のつながりを描いた本。当時、何度も読み返した記憶があり、幼い私は深く感銘を受けました。それが今の仕事につながっていると思います。
今年の6月、内子町の民間事業者では初となる「発達相談支援事業所」を開設し、相談支援専門員として働いています。障がいや特性のある子どもへの支援を願い、10年以上活動してきた結果が今、この手に確かな形としてあります。もう一つの新事業も進んでいて、私の胸は子どものようにわくわくしています。
長年、認知症介護の現場で夫婦ともども働きながら、発達障がいのある子どもたちを育てていく中で、孤立感やはがゆさもたくさんありました。しかし同時に非常に多くの人々と出会い、学びを得ました。制度や仕組みを知り、出会った方々の声はいつしか私を「障がいや特性のある子どもたちのための仕事がしたい」という気持ちへと導いてくれ、私個人の願いが今は夫婦共通の願いとなりました。
私の夢、それは子どもたちが豊かな人生を歩むために、必要な支援をこのまちで受けられるようになることです。そのための第一歩を踏み出し、ファーストペンギンとして果敢に、したたかに、時には原点に立ち返りながらも挑み続ける自分でいたいと思います。

次は、上田和夫さん〔内子8〕にお願いします。