くらし 差別をなくすために 第478号

■高齢者の権利擁護
日本国憲法は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」と規定しています。基本的人権は生まれながらにして持っているものとして、すべての国民に平等に保障されています。また憲法は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とも規定しています。これは個人の幸福追求権を保障したものです。
しかし、高齢になれば、一人暮らしで生活困難、判断力の低下、認知症などといった理由により、人権や権利が侵害されやすい状況になります。特に判断力の低下した高齢者は、虐待や悪質商法の被害などの権利侵害に遭いやすいという特性があります。
このように高齢者に降りそそいでくる権利侵害から、「生命」をはじめ、その人が持ついろいろな権利、「自由権」「社会権」「参政権」「財産権」「幸福追求権」などを守り、高齢者の尊厳を保持し、その人らしく暮らし続けていくことができるようにすることが大切です。
具体的には、高齢者の生活・権利をその人の立場に立って代弁し、あるいは本人が自ら自分の意思を主張し、権利行使ができるように支援することです。認知症があるとか、生活を家族や周囲の人々に依存しているといった場合は、自身に人権の侵害や虐待、不適切なケアがあっても、「助けてほしい」「止めてほしい」と主張しにくいものです。こういった負の状況を解消することで高齢者の権利を擁護することが大切です。
地域の皆さんが、高齢者の権利擁護に対する理解を深めて住んでいる地域で、高齢者の尊厳を守る役割の一翼を担っていただけたら幸いです。一人一人が協力し、高齢者が住み慣れた地域で、その人らしくいきいきと暮らしていくことができる地域が求められています。
芦屋町人権・同和教育研究協議会

問合せ:社会教育係
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