くらし 躍動する長与人 Vol.12

長与にゆかりのある、各分野で活躍している人を紹介します。

◆戸村James哲治さん
〈プロフィール〉
1958年生まれ。幼少期は親の転勤の都合で長崎県内を転々。小学校6年生から高田小学校、長与中学校に通う。長年、広告会社のディレクターとしてメディア、作品のディレクションに関わり、50代で自らの画家活動をスタート。東京、福岡で数々の個展やグループ展を催す。
2024年3月 福岡市美術展市長賞受賞
2025年2月 絵本「TOMさんのアトリエのなかぼくのまち」出版

Q:画家活動を始めたきっかけを教えてください。
A:大学は福岡、仕事では東京にいたため、そこで素晴らしい美術作品、デザインの数々に触れ刺激を受け、東京にいた50代から作品を描き始めました。絵はまったくの独学です。長年、仕事上でデザインやイラストに関わることが多かったため、それが今の自分の仕事に生かされているのだと思います。

Q:どんな子どもだったか教えてください。
A:小学生のころから絵を描くのが好きでよく長崎新聞へ絵を投稿していました。当時は新聞を小中学生でも愛読していた時代で、新聞社も若い人たちへの紙面を開放していたので、好きなイラストを描いては送っていました。どんな絵を描いて送っていたかは覚えていませんが、紙面に掲載されたら貰える賞品が励みになりました。高校は長崎日大高校のデザイン科に進学予定でしたが、受験直前になって親から「絵で食べるのは大変だよ」とのアドバイスを受け、将来の可能性を広げるため普通科に進学しました。あの時が人生の分かれ目だったと思ってきたのですが、現在は画家をやっているのでこれが運命だったのかと今は思っています。

Q:こだわりを教えてください。
A:テーマや色どりを大事にしていて、特にテーマを考えるのが一番時間がかかります。ネットや雑誌やテレビ、映画などのメディアを見たり、散歩して風を感じながら構想を練ります。テーマが浮かべば後は比較的簡単に筆が動いてくれます。一枚の絵から物語を想像できるような絵を描く画家でいたいです。

Q:一番良かったことは?
A:好きな絵を一生の仕事として活動できること自体が素晴らしいことです。今年の2月に初の絵本「TOMさんのアトリエのなかぼくのまち」を出版しました。絵ばかり描いていたので、絵本のページを操りながら物語が紡がれていくことがこんなに楽しいものかと絵本製作に喜びを感じました。

Q:今後の展望を教えてください。
A:現在は福岡を中心に個展、グループ展などを開催していますが、九州各地や東京、名古屋、大阪など全国的な動きをして新しい発見をしていきたいと思います。

▽町民へメッセージ
小学校の1年と中学、高校の計7年間しか長与町には住まなかったけれど、故郷と云えばやっぱりここ長与町です。登下校時に歩く緑と川の流れがきれいだったことを50年以上も前のことだけどよく覚えています。長与人の人の良さも忘れていないつもりです。どうかこの自然環境をいつまでも大切にしていただければと思います。

▽編集部注
絵本「TOMさんのアトリエのなかぼくのまち」を長与町図書館に寄贈いただきましたので、ぜひ戸村さんの世界観をご堪能ください。