くらし さよなら、ヤシの木。

皆さん、玉名駅前の風景と言えば何を思い浮かべますか? 多くの人が「釣り鐘とヤシの木」と答えます。そんな駅前のシンボルだったヤシの木が老朽化による倒木の恐れから、7月に伐採されることになりました。皆さんの記憶の中にも残っているヤシの木。今月号ではそんなヤシの木を駅前の思い出写真と共にリポートします。
*画像は紙面又はHPでご覧ください。

■ 玉名駅の歴史と駅前のヤシの木
ヤシの木がそびえ立つ玉名駅。今から134年前の明治24年(1891)4月1日に「高瀬駅」として発足しました。当時は福岡県の「瀬高駅」とよく間違われていたようで、貨物が誤って到着したこともあったそうです。昭和29年(1954)4月に玉名市が誕生し、当時の市長を中心に「駅名改称運動」を展開。昭和年(1956)4月10日にようやく駅名が「玉名駅」と変わります。その後、昭和35年(1960)に木造だった駅舎が現在の鉄筋コンクリート造に建て替えられ、その際に駅前広場が整備されました。実は、駅前のヤシの木や小岱松はこの頃に植栽されたものではないかと言われています(参考:ふるさと玉名写真集(1999発刊))。それから65年もの間、このヤシの木は人々の往来や私たちの暮らしを見守ってきました。

■ ヤシの木とのお別れセレモニー
安全上の問題から伐採が決まったヤシの木。しかし、駅前のシンボルだったこの木をただ伐採するのではなく「最後のお別れに何かセレモニー的なことはできないか」と関係者は画策。そこで、7月5日、今年で第3回を迎える「エキマチ夜市(エキマチかたろうピクニック主催)」のイベントでそれを実現しようということになりました。
迎えたイベント当日。ヤシの木を飾ったり、これまでヤシの木が見守ってきた当時の駅前の風景写真をパネル展示したり、夜市の参加者と一緒に思い出を振り返りました。会場内には、駅前から卒業するヤシの木へのメッセージを書けるように伝言板が設置され「またね!」「いつも通学を見守ってくれてありがとう!」など思い思いの言葉が書き入れられました。
そして、夜市の最後には「さよなら、ヤシの木」と題し、お別れセレモニーが。会場内に「今日の日はさようなら」の曲が流れる中、ライトアップしたヤシの木を見上げる人、名残惜しそうに写真に残す人などそれぞれがヤシの木に思いをはせる時間となりました。