文化 特集 湯前町地域産業交流施設 湯前が誇る一粒を(3)

▼湯前でしか味わえない米を作りたい
くまくまアグリ 深水翔平さん(25・野中田1)
Profile:ふかみしょうへい
大学卒業後、就職・転職の後、修業期間を経てアンティークショップを起業。ことし5月には、人吉市で行われた古物市『人吉蚤の市』を主催した。7月からは湯前町地域産業交流施設を運営している
※杵つき精米所を利用するときは事前連絡を
※精米は15kg単位で受付

▽地域の人が集まる場所に
杵つき精米所では、杵つき・摩擦式での精米はもちろん米の販売も行っているので、一般の人も利用できます。精米所の見学もできるので、杵つき精米機がどのような機械なのか興味がある人は、ぜひ来てください(要連絡)。
現在精米所にある機械を、これから利活用するためにも、さらに知識を広げていきたいです。杵つき精米所が『地域の人が集まる一つの交流の場』となることを目指しています。

▽湯前という付加価値を付けたい
これまで当たり前のように毎日食べてきた米ですが、現在、令和の米騒動によって米や田んぼが注目されています。米を買いたい人・生産する人・場所・天候などさまざまな条件が重なって、需要と供給が合っていない状態。注目されている今が、多くの人の米と田んぼに対する価値や考え方を変えていく絶好の機会です。
杵つき精米所の運営を始めるにあたり、米の成分や性質などの勉強を重ねました。湯前は、有機栽培や加工が盛んな地域。杵つき精米所をきっかけに、より多くの人に湯前の米を知ってもらい「米といえば湯前」と一目置かれるような地域になってほしいです。
ワインの世界には、風味や味わいを決める「テロワール」という言葉があります。原料となるブドウが育った畑の土壌や天候などの自然環境を指し、ワインの価値につながります。これを同じように米でもできないかと考えています。『湯前でとれた米』『杵つき精米』といった生産や加工が行われた場所の付加価値を付けることで、湯前の米のおいしさや価値を知ってもらいたいです。
これからも米の生産や精米などの加工を続けながら、さらに知識を広げていきます。そして、まちの特色や土壌を生かした“湯前でしか食べられない米”を作っていきます。

■〝湯前の米〟をこれからも
旧東部精米所の解体・杵つき精米所の完成・休止・復活…。さまざまな歴史を刻んできた精米所。今回、新たな職人が関わって再び動き出しました。湯前だからできること、湯前でしかできないことを追い求める中で、米がご縁をつないでくれました。
価格や効率性を重視した暮らしが注目される今、昔ながらの方法で時間をかけて精米。研究を重ねたからこそ味わえる味。おいしいものをよりおいしく食べるため『湯前の米』に思いをのせて―。

特集 湯前が誇る一粒を(完)―