- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県球磨村
- 広報紙名 : 広報くまむら 2025年7月号
■災害に備える
防災の基本は「自助・共助・公助」です。このうち、公助は行政・消防・警察などが行う救助・援助活動を指し、住民の安全確保に取り組みます。しかし、災害が起こるとそれらの機関が被災したり、道路などのインフラ機能が寸断されたりと十分な支援が行き届かなくなったりすることが想定されます。命を守るためには、自分自身で災害に備えることや早めの避難を行う「自助」、地域住民同士で協力して助け合う「共助」の取り組みが何よりも重要です。
災害はいつ、どのようなタイミングで起こるか分かりません。被害を少なくするためには、地域で協力して災害に備えることが重要となります。自分の身は自分で守ることができるよう、いざという時の備えをいま一度見直してみましょう。
■最悪のシナリオを想定し、勇気をもって、行動を起こしましょう
役場が発令する避難情報には、高齢者等避難や避難指示、緊急安全確保があります。
高齢者等避難は、避難に時間を要する人(高齢者や障害のある人、乳幼児など)とその支援者へ避難の開始を呼びかけるものであり、避難指示は、土砂災害警戒区域等の危険な場所から、速やかに、避難先への避難を呼びかけるものです。また、緊急安全確保は、既に命が危険な状態が迫っており、速やかな安全確保を促すものです。
発令は、それぞれの発令基準に基づき発令しています。
そのうち、高齢者等避難の発令基準は、村内に大雨・暴風警報が発表される場合(夜間に発表が予想される場合を含む)、村内に震度4以上の地震が発生した場合、球磨川の水位が氾濫注意水位を超えた場合に発令しています。
高齢者等避難は、いわゆる移動弱者の方々へ避難を促すものです。
球磨村では、令和2年7月豪雨災害で犠牲になられた25人のうち、24人は要支援者でした。
夜中や豪雨の中等、状況が悪化してから避難することは、困難であることを、この災害で実感しました。
この教訓から、地震と違い、ある程度、推移予測ができる豪雨の場合、「明るいうちに、動けるうちに、防災無線が聞こえているうちに」避難することは、極めて重要であると考えています。
気象庁の気象予報技術は、線状降水帯の半日前予測など、年々向上していますが、実態として、梅雨末期の気象予報には限界があります。
数十年に一度の豪雨が発生しやすい梅雨末期がことしも近づいています。
この時期、毎年のように、日本のどこかで水害や土砂崩れにより、人的被害が発生しています。
近年、早めの避難という言葉を耳にしますが、命を守るためには、最悪のシナリオを想定し、勇気をもって、行動を起こすしかありません。
いよいよ梅雨本番です。
最悪のシナリオを想定し、避難を躊躇(ちゅうちょ)せず、勇気をもって、行動を起こしましょう。
防災管理官 中渡 徹(なかわたりとおる)