くらし 幸せになろうね 人権 心の扉 No.347

なるほど“ザ”人権講座 第2回講座を開催しました。
~「寝た子を起こすな」から考える人権意識~

令和7年7月17日、「なるほど“ザ”人権講座」の第2回講座を開催しました。今回のテーマは、「寝た子を起こすな」。この言葉は、かつて部落差別などの人権問題に対し、「差別意識を持たない人にわざわざ教えると、逆に差別を意識させてしまうのではないか」との考えから生まれたものです。しかし現在では、その考え方が差別の温存や無関心を招くのではないかという議論もあり、今回の講座では、この言葉の意味や是非について改めて向き合いました。
前半は、参加者がペアになって「寝た子を起こすな」について、肯定派(わざわざ掘り起こさなくてよい)・否定派(差別に向き合い正しく学ばなければならない)に分かれて意見を交換。その後、少人数グループで討議を行い、立場や背景の異なるさまざまな視点を共有しました。討議の中では、「正しい知識を知らずに放置するのは危険」「無関心な人にどう伝えるか、方法やタイミングが重要」といった意見が出されました。また、「否定派だと思っていたが、肯定派の意見にも一理あると感じた」「立場や環境によって、考え方が変わる」といった声もあり、単純な二項対立では捉えきれないテーマの奥深さが浮き彫りになりました。
後半には、大分県人権啓発センターの足立講師をお迎えし、現代における部落差別の実態や、ネット社会の中での情報の取捨選択、そして正しい知識を持つことの重要性についてご講演いただきました。講師からは「差別をなくすには、まず知ること」「当事者ではなく“共事者”として、痛みを想像し寄り添うことが大切」といった言葉があり、参加者の多くが深く共感していました。
受講後のアンケートには、「自分の考えを見直すきっかけになった」「子どもにどう伝えるか考える必要を感じた」「学びを行動に移していきたい」といった声が寄せられました。
今回の講座では、ペアワークやグループ討議を通して、自分の中にある意識に気づき、他者との対話によって考えを深める貴重な時間となりました。今後も町全体で人権意識を高め、誰もが安心して暮らせる地域づくりを進めていくために、こうした学びの機会を大切にしていきたいと思います。
今回のテーマ「寝た子を起こすな」について、ぜひ皆さんも、自分の中にある「肯定」「否定」について考えてみてはいかがでしょうか?

(社会教育課)