くらし 【特集】もし○○○○がなくなったら(3)

■日常生活で利用
市内にはさまざまな公共交通機関があります。民間事業者が運行する路線バスやタクシー、鉄道のほか、市が運行する国分・隼人の市街地を回る市街地循環バスや各地区内を巡るふれあいバス、はやと循環ワゴン、AIを利用したきりしまMワゴンなどもあります。しかし、時間や便数などさまざまな理由から、利用者がわずかな路線も少なくありません。

▽地域で守る
令和3年9月、利用者数の減少などの理由から、姶良市加治木町から国分重久へ走っていた路線バスが廃止になりました。住民からの要望もあり、代替策として隼人駅を拠点に商業施設などを巡る、『はやと循環ワゴン』が走り始めます。市内を走る公共交通の中でもはやと循環ワゴンは、利用者が増加傾向にあります。「はやと循環ワゴンは、小回りが利く9人乗りのジャンボタクシーで、バスが入れないような狭い道にも停留所がある。循環ワゴンを利用すれば知り合いに会えて、コミュニケーションの場にもなっています」とほほ笑むのは、隼人町小浜に暮らす上平田茂さん(76)です。好調に見える運行ですが、その裏には地域住民による地道な努力がありました。「開始当初はなかなか乗る人が増えなくてね。やっぱり車が便利で、いつか運転ができなくなったときのものと考える人が多かったと思う。でも、利用がなければ便数は減るし、停留所も減る。いつまでも安心して暮らせる地域を守るために、とにかく『知ってもらう』ことが必要だと考えました」と上平田さんは振り返ります。
小浜地区では循環ワゴンの存在を周知するために、夏祭りでの試乗会や検診時のチラシ配り、自治会の総会では必ず循環ワゴンについて話し合う機会を設けるなど、身近に感じられる取り組みを続けています。上平田さんは「自分で買い物に行ける、動ける環境があるということは大事なこと。将来のために循環ワゴンをみんなで利用して、守り続けたい」と力を込めます。

[INTERVIEW]
■はやと循環ワゴンで楽しい時間を
上田初美さん
隼人町小浜在住
週に1、2回循環ワゴンを利用します。知り合いがたくさん乗っていて、安否確認の場にもなっています。夫が亡くなってから車での移動ができず、子どもに頼むこともありますが、申し訳なくて自由に店内を見て回れないこともありました。循環ワゴンを使うようになってからは自分で移動することができ、楽しい時間を過ごせています。車内での会話も楽しく、そのまま旅行に連れて行ってほしいぐらいです。