- 発行日 :
- 自治体名 : 岩手県一関市
- 広報紙名 : 広報いちのせき「i-Style」 令和7年8月号
■遺伝資源として重要な地ダイコンを探求 地域の伝統知、食に果たす役割を次世代へ
大学、大学院で農業経済を学び、昭和51年に宮城県の高校教師に。翌年、高校の隣町の集落で高齢女性が一人で細々と作り、今にも途絶えようとしていた在来種の小瀬菜(こぜな)大根の存在を知りました。「このままでは地域独特の伝統的な漬物文化もなくなってしまう」と危機感を持ち、小瀬菜大根を高校のプロジェクト学習の教材に取り入れ、学校の農場で生徒と栽培を始めました。この出合いが東北をはじめ全国、海外に足を運び、食と地ダイコンを探究するというライフワークのきっかけとなりました。
「農業学習は、とにかく自分たちで実践すること。土を耕し、種をまき、収穫する。これを観察・実験して命を育てる。探究で学んだことは忘れない」。揺るぎない信念で教員を勤め上げ、平成23年に石巻北高校校長を最後に定年退職しました。今は、いかに探究学習を指導できる教員を育てるかということも教育現場の課題に感じています。
「生まれたこの地域で何ができるか。歴史的文化財をはじめ、ため池の景観など、農村ならではの地域資源の活用を模索している」と好奇心はとどまることを知りません。
▽地ダイコン研究の第一人者
佐々木 寿(ささき・ひさし)さん 74(花泉)
Profile
昭和25年、花泉生まれ。元東北大学非常勤講師。伝統作物種苗保全ネットワーク会議幹事。地ダイコン関連の著作・共著は多数。過去には岩手県の教員免許状更新講習会で講師を12年間務めた。現在、地元老人クラブでは草取りなどに汗を流し、集落の絆の大切さを再確認している。