くらし 広報eco いちのせきからストップ温暖化〔第41号〕

■次に来る水害から、全ての皆さんが身を守るために
雑節の一つ「二百十日」は立春から数えた日数ですが、台風に警戒する頃と祖父から聞いたのを記憶しています。毎年おおむね9月1日で、関東大震災が発生した日として防災の日になっています。岩泉町の高齢者グループホームで入居者9人が犠牲となった平成28年の台風10号は、東北地方の太平洋沿岸に初めて上陸した台風で、この台風が上陸したのが8月30日でした。
「次に来る水害から、全ての皆さんが身を守るために」。これは本年6月1日に一ノ関駅東口の住民の皆さんに向けて行った防災講話のタイトルです。要点を紹介します。

▽北上川(狐禅寺地内)の水位がカスリン・アイオン台風に次ぐ3番目の高さに達したのは平成14(2002)年7月11日の台風6号による洪水でした。狐禅寺より上流の北上川流域の大半で約180ミリの降水がありましたが、一関遊水地が機能を発揮し、市街地の広範囲での浸水を免れました

▽磐井川堤防天端高より駅東口の標高は8~9メートル程度低く、想定される最大規模の洪水時には、広範囲で5メートル以上の浸水深が予想されており、一ノ関駅東口の大半が、早期の避難が必要な区域に指定されています

▽磐井川堤防がかさ上げ・増強され、磐井橋にも陸閘(りくこう)が設置されるなど、洪水への備えが進んでいます。しかし、磐井川を横断するJR東北本線の堤防かさ上げは未着手であり、溢水(いっすい)の懸念が残っています

▽水害時の指定避難所は限られています。指定避難所以外に身を寄せることができる安全な場所を確保しておくことを推奨します

▽気象庁の「キキクル」や国土交通省の「川の防災情報」、一関市のホームページなどを注視し、適時・的確な避難行動をとりましょう。自主防災会役員や区長は避難行動要支援者名簿を常備し、対象者の個別避難計画の作成に努めましょう

▽気象庁の予報を大幅に超える大雨になることもあり、時々刻々の変化を注視し、柔軟な対応が必要なこともあります

文:気象防災アドバイザー・気象予報士 佐々木勝裕(IEL会員)

■気象災害の激甚化・頻発化
気象災害の激甚化・頻発化の背景には地球温暖化があります。地球温暖化が進み、新たに地球に蓄えられた熱の9割以上を海洋が引き受け、海(面)水温が上昇し続けています。その結果、海上の大気はさらに暖められ、大気中に含まれる水蒸気量が増加することにより、海に囲まれた日本では、雨が降れば大雨になりやすく、さらにその大雨も頻繁化しています。
東北地方でも年最大日降水量*(下図参照)は増加傾向にあり、3時間降水量100ミリ以上・1時間降水量50ミリ以上の極端な大雨の発生回数も増えています。ここ数年では、秋田県や山形県で、それまで最も多かった降水量を大幅に更新する大雨に見舞われ、大水害が複数回発生しています。令和6年8月末には盛岡市周辺で線状降水帯が発生し、記録的短時間大雨情報などが連発され、盛岡市内を流れる中津川が氾濫危険水位に達して1万4千世帯に避難指示が発表されました。
水害以外にも一関市内には土砂災害(特別)警戒区域が無数にあり、その危険が迫った時には早期の立ち退き避難が命を救います。台風シーズンが到来し、想像を絶する大雨は明日来るかもしれません。一関市防災マップを家族で確認し、災害に備えましょう。

*年間で最も降水量の多かった日の降水量

出典:仙台管区気象台ホームページ
※詳しくは本紙をご覧ください。

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一関地球温暖化対策地域協議会(IEL)
令和7年8月25日発行

問合せ:一関地球温暖化対策地域協議会事務局(本庁生活環境課内)
【電話】21-8331