- 発行日 :
- 自治体名 : 岩手県陸前高田市
- 広報紙名 : 広報りくぜんたかた 令和7年5月号 No.1189
■見どころポイントを紹介します
◆其の壱(いち) 被災した部材を使用した骨組み
被災した部材のうち約6割が回収され、骨組みに使用されています。その多くは長い年月を経て囲炉裏(いろり)の煙で燻(いぶ)されて黒くなっており、新しい部材との対比で、よりその歴史が際立ちます。部材の至る所には、震災の傷跡も残っています。
◆其の弐(に) 小屋組(屋根を支える骨組み)の構造と「煙出し」
「だいどころ」内で上を見上げると、梁(はり)などの小屋組の構造が良く分かり、また囲炉裏から出る煙を逃がす「煙出(けむだ)し」が見られます。「煙出し」は、囲炉裏の真上から少しずれた場所に位置しており、斜め上に煙が出ていく様子を見ることができます。
◆其の参(さん) あるはずのない部屋
主屋内の一室には、南北の壁の少し変わった位置に柱が建っている場所があります。これはその上部に垂直に位置していた梁に合わせて建柱されたものですが、不思議なことにこの場所に柱があったという記録はありません。かつては南北の柱をつなぐように襖(ふすま)があったとも考えられますが、現状、この一室の一部は「あるはずのない部屋」になっています。
◆其の肆(よん) モチーフの異なる「釘隠し」
各部屋や廊下などの梁部分には、打ち付けた釘を隠すための「釘隠し」が取り付けられており、扇やウサギなど、場所によってモチーフが異なります。お気に入りの「釘隠し」を探してみましょう。
◆其の伍(ご) 江戸幕府の役人が泊まった「おかみ」
主屋内の最奥(さいおう)には、藩政期に巡見使(じゅんけんし)(諸国の政情・民情を調査させるために幕府が派遣する役人)や藩主の視察の際に宿所として使われた「おかみ」があります。位の高い役人が泊まる部屋のため、この部屋にのみ内鍵がついていたり、棚の上に置いた筆が転がって落ちないように「筆返し」が取り付けられるなど、様々な仕掛けがあります。
◆其の陸(ろく) 美しい月を眺めた「月見の石」
「おかみ」の目の前の庭園内には、池と「月見の石」があり、吉田家に宿をとった役人が、夜になるとこの石の上に立って月を眺めていたと言われています。「月見の石」の上で空を見上げてみるのも一興かもしれません。
◆隠されているのはな〜に?
主屋の各室内には、現代の住宅には必ず取り付けられている「あるもの」が、当時の様子を忠実に再現するためにあえて隠して設置してあります。
ぜひ来館して探してみてください!
◆他にも見どころ盛りだくさん!
管理棟内では、東北工業大学が製作した19世紀当時の今泉の街並みの模型展示や、吉田家での執務記録などが記された「吉田家文書(もんじょ)」のデジタルデータ閲覧もできます。さらには、復旧に大きく貢献した気仙大工左官の道具の展示など、ここでは伝えきれない魅力が満載です!