- 発行日 :
- 自治体名 : 山形県朝日町
- 広報紙名 : 広報あさひまち 令和7年10月号
■町の台所事情(借金と貯金)
町も一般家庭と同様、大きな事業を行うときは国や民間の金融機関などからお金を借りています。また、将来の支出に向けた蓄えや寄付金を原資とした貯金もあります。両者の5年間の推移、令和6年度の状況をお知らせします。
◆町債残高(町の借金) 〜令和6年度末の残高は約54.0億円。前年度から1.8億円減少〜
5年連続で大幅減となりました。償還額(7.3億円)が発行額(5.4億円)を大きく上回ったためです。
町債を発行して実施した令和6年度の主な事業は、町道前田沢下芦沢線災害防止事業(1億2,030万円)、Asahi自然観コテージ村再整備事業(5,420万円)、役場庁舎長寿命化事業(2年目)(4,000万円)など。
※( )内は町債発行額

◆積立金残高(町の貯金) 〜令和6年度末の残高は約31.1億円。前年度から3.9億円減少〜
前年度から3.9億円の減となりました。主に役場庁舎改修工事およびAsahi自然観コテージ村再整備事業に活用するために、例年よりも多い金額を町有施設整備・整備基金から取り崩したことが主な要因です。
取崩額の総額は8.8億円。役場庁舎改修、Asahi自然観コテージ村再整備事業のほか、老朽化が進む施設の修繕・改修に町有施設整備・管理基金を取り崩したほか、星空の街・あおぞらの街全国大会事業には財政調整基金などを、学校給食費無償化事業および空気神社のライトアップの補助金などには日本一りんごのふるさとづくり基金を活用しました。

◆主な積立金の状況(令和6年度)(単位:万円)
※端数処理の関係で合計額等が一致しない場合があります。

■財政指標で見る町の財政状況
町の財政状況は健全化判断比率※をはじめとしたさまざまな指標により客観的に分析することができます。こうした指標を過去3年間の推移や県内町村との比較で分析します。
◆財政力指数(自前の収入でやりくりできるか)
他自治体と比較して、当町は必要な経費を自主財源で賄える割合が低いことが分かります。町民税や固定資産税などの町税収入が少ないことが主な要因です。
…良くない

自治体経営に必要なお金を実際の収入で割った値(3カ年の平均値)で、数値が大きいほど余裕がある。
◆経常収支比率(自由に使えるお金があるか)
昨年度から大きく上昇しました。他自治体と比較しても、高い数値となっています。県人事委員会勧告にならった人件費の増が主な要因です。
…良くない

毎年度ある収入に対して、必ず行う支出の割合を示したもの。数値が低いほど柔軟に事業に対応できる。
◆実質公債費比率(借金返済に窮していないか)
9年連続の上昇となったものの、県平均よりは低い数値で、依然として良好な水準を維持しています。返済費用の一部が地方交付税に算入される制度を有効活用しているためです。
…良い

一般会計の公債費(借金返済費用)が重すぎないかを見る指標。3カ年の平均値で算定。数値が低いほど良好。
◆将来負担比率(将来世代にツケを先延ばしにしていないか)
前年度に続き、比率はありません。借金などの将来負担額よりも貯金や将来地方交付税として算入が見込まれる金額の方が多いためです。
…良い

一般会計の町債(借金)や、将来支払う可能性のある他会計負担金の程度を指標化したもの。数値が低いほど良好。
※健全化判断比率…実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4指標の総称。公営企業の経営健全度を表す資金不足比率とともに、毎年議会への報告と公表が義務付けられています。
健全化判断比率のうち、実質赤字比率、連結実質赤字比率については県内全ての市町村で比率がありません。
▽まとめと今後の取り組み
実質公債費比率、将来負担比率は健全な状態を維持しており、かつ町債発行額(新たに借金をする額)が公債費(借金返済額)を超えないようにしているため町債(借金)残高は年々減少している状況です。
しかしながら依然として町債残高は多く、そのため公債費も多額となっている状況が続いているのに加え、物価高騰、人件費の増により経常収支比率の上昇につながっています。
今後も、大型事業として観光施設や義務教育学校の建設が控えており、公債費の増額が見込まれます。その実施にあたっては、各種基金の有効活用などで町債発行を抑制しながら健全財政の維持に努めていきます。
