くらし 〔特集〕つないできた熱狂とひたむきの30年(3)

■変わらない想(おも)い(1)
鹿嶋市の30年間は多くの方に支えられてきました。
今回は、4つのテーマのなかで、長年活躍してこられた方々にこれまでの想い、そして未来につないでいきたい想いを伺いました。

◆地域を支え、守る
▽鹿嶋市消防団
・団長 生井澤 郡司(なまいざわ ぐんじ)さん
・副団長 岡見 安宏(おかみ やすひろ)さん
・副団長 根本 正大(ねもと まさひろ)さん
・副団長 安重 秀邦(あんじゅう ひでくに)さん

▽地域に一番近い存在として
地域に根ざし、自分たちの住むまちを守る組織、それが私たち消防団です。
かつては今以上に活動が活発で、特に思い出深いのは、ポンプ操法大会に向けた練習の日々です。大会までの1カ月半、毎晩集まり、汗を流しながら技術を磨きました。訓練は大変でしたが、そのおかげで団員同士の絆はより一層深まったように思います。
消防団での活動は、火災や災害現場だけではありません。地域のイベントへの参加や協力など、市民の皆さんと触れ合う機会を大切にしてきました。こうした活動は、消防団を市民の皆さんにとって身近な存在にし、いざというときに頼りにしてもらえる関係を築くうえで、とても重要なことだと感じています。
東日本大震災の際は、余震が続くなか、連日大量のがれきや泥の後片付けを行いました。毎日本当に大変でしたが、それでも踏ん張ることができたのは、「自分の住む地域を自分たちの手で守る」という強い思いがあったからです。

▽鹿嶋を守ってきた先輩たちの想いを受け継ぐ
先輩方から、「消防団は何かあったときに一番早く動けるボランティアだ」と教わりました。先輩方が地域を守り抜いてきたその強い思いを、今度は私たちが若い世代へと引き継いでいます。
現在、消防団の活動は人手不足という大きな課題に直面しています。災害時には一人でも多くの団員がいることが、迅速な対応へとつながります。鹿嶋を愛し、一緒に地域を支え、守ってくれる方が一人でも増えてくれることを心から願っています。

◆次の世代を育てる
・坂上 彰弘(さかがみ あきひろ)さん

清真学園高等学校・中学校副校長
市教育委員会や校長を歴任し、本市教育の発展に貢献。

▽鹿嶋市の教育に携わってきて
私は、教員人生の半分以上を市内の学校や教育委員会で過ごしました。学校の規模や地域の実情に応じて特色ある教育を実践できるのが、鹿嶋市の教育の特長だと思います。30年前から、「一人ひとりを大切にする」という教育は変わりません。現代は、教育においてもデジタル化が進み、学校に来なくてもできることが増えてきています。このような時代だからこそ、子どもたちにとって学校がもっと魅力的で楽しい場になるよう、また、子どもたちには、「今よりも一歩前に踏み出してほしい、諦めずに挑戦すればそれが成長につながる」という思いで、その後押しができるよう関わってきました。この思いは、今も昔も変わりません。

▽苦しいときでもできることはある
新型コロナウイルスのまん延は、これまでできていたことが急にできなくなり、子どもたちの安全安心も守らなければならない、大変な時期でした。しかし、そのなかで学んだことは、みんなで「できる方法を工夫して考える」ということ。これは私たち教職員も子どもたちも今後に活かしていける経験だと思います。

▽これからの鹿嶋をつくる子どもたちへ
これからは、これまで以上に多様性が尊重され、答えがひとつではない、正解がない時代だと言われています。だからこそ、たくさんの経験や人との出会いを通して、自分で考え、判断し、行動できる大人になってほしいと思います。人と比べずに、自分らしい色で、市の将来像として「Colorful(カラフル) Stage(ステージ) KASHIMA」を掲げる鹿嶋市を染めていって欲しいです。