健康 特集 高血糖対策プロジェクト「今ストップ!高血糖」(1)

※この記事では、2型糖尿病について記載しています。
糖尿病は痛い・痒いなどの自覚症状がないまま進行します。「自分は大丈夫」という思い込みは、糖尿病を進行させ、気づいたときには深刻な合併症を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたしてしまう恐れがあります。今回の特集では、大田原市の糖尿病に関する実態や取り組みについて、ご紹介します。

■糖尿病ってどんな病気?
糖尿病は、遺伝や食べ過ぎ、運動不足、肥満、強いストレスなどが要因となり発症する病気です。
毎日食べている食事に含まれている糖質は、体内でブドウ糖に変わり、筋肉や脳を動かすエネルギー源として、血管を通して全身に運ばれます。血液中のブドウ糖(血糖)濃度は、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンによって、一定の範囲に保たれています。インスリンが十分に分泌されなかったり、働かなかったりするために、慢性的に血糖が増えてしまいます。血糖の濃度(血糖値)を高いまま放置すると、将来的に心臓病や失明、腎不全、足の病変といった合併症につながります。

■自覚症状がないまま進行します
初期の段階では自覚症状がないことが多いです。血糖値が高い状態が続くと、全身の細かい血管が傷つき、さまざまな合併症を引き起こします。

■全身に起こる糖尿病の合併症・併発症

▽(1)脳
・脳梗塞…糖尿病でない人と比べ、脳梗塞を起こす割合は2~4倍。
・認知症…糖尿病でない人と比べ、認知症になる割合は1.5~2.5倍。

▽(2)目
・糖尿病性網膜症…視力が弱まる。初期には自覚症状がなく、突然目が見えなくなって気付くことも。

▽(3)口
・歯周病…糖尿病でない人と比べて、歯周病になる割合は約3倍。

▽(4)心臓
・心血管疾患…糖尿病でない人と比べ、心筋梗塞を起こす割合は3倍以上。

▽(5)腎臓
・糖尿病性腎症…腎臓の血流が悪くなり、老廃物をろ過する機能が低下。人工透析にいたる場合も。

▽(6)手足など
・骨粗しょう症…骨質の低下による骨折の危険性が高まる。
・糖尿病性神経障害・糖尿病性足病変…手足の神経に障害が起こり、痛みやしびれを感じる。進行すると知覚が低下し、やけどやケガをしても気付かず、壊えそ疽により切断にいたる場合も。

▽がん…糖尿病では、大腸がん、肝臓がん、すい臓がんのリスクが増加。

■あなたは自分の血糖値・HbA1c値を知っていますか?
糖尿病は初期症状がほとんどなく、検査によって血糖値やHbA1c値を測ることでしか、高血糖の有無を判断することはできません。

▽血糖値とは?
血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。

▽HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは?
赤血球の中にあるヘモグロビン(酸素を運ぶ役割)と血液中のブドウ糖が結合したものです。過去1~2か月間の平均的な血糖の状態を表します。

下の図は、空腹時血糖値とHbA1c値の基準値や糖尿病が重症化する段階を示しています。空腹時血糖値は100mg/dl未満、HbA1c値は5.6%未満が正常です。検査を受けた方は自分がどの段階にいるのか確認してみてください。また、1年以上検査を受けていない方は、健康診査などで体の状態を確認することをお勧めします。

問合せ:健康政策課[本]3階
【電話】0287‒23‒7601