くらし 輝いてます ひと

民踊・新舞踊 指導者 黒河 友子(くろかわ ともこ)さん

■踊りの楽しさを伝えたい
「民踊は、歌詞に昔の暮らしが表現されていて、踊っていると懐かしさで心が温かくなるんです」と話すのは、黒河友子さん(84歳・北町4丁目)。楽しみながら踊ることをモットーに週に一度「蕨ほほえみ会」で民踊や新舞踊の指導を行いながら、現在は蕨市舞踊連盟の副会長としても活動し、踊りの魅力を地域の人々へ伝えています。
36歳のとき、習い事として踊りを始めた黒河さん。演歌や民謡に合わせて踊る楽しさにひかれ、毎日のように稽けい古に通いました。ひたむきに練習に励み、歌詞の背景まで調べるなど、表現に深みを持たせる努力も重ねると、40代からは宝塚劇場や国立劇場など数々の名だたる舞台に出演。華やかなステージに立ち、仲間と息を合わせて踊る楽しさに夢中になりました。
そんな踊りの世界を多くの人にも知ってほしいと、48歳からは指導者として後進の育成にも尽力。子どもから大人まで幅広い世代の生徒たちに教えてきました。お気に入りの曲は、市内のお祭りなどで長年親しんできた、わらび音頭です。「歌詞に描かれた蕨の風景を思い浮かべながらみんなで踊る時間が、一生の思い出になるように」との思いから、毎年盆踊りの前には町会で練習会を開いています。初心者でも気軽に参加できるよう、優しい笑顔で一人ひとりに丁寧に指導する姿には、上手に踊ることよりもみんなで楽しむことを大事にしてきた黒河さんの思いがにじみます。
先月はわらび音頭を次代につなぐ教則映像の収録に参加。今月開催される機まつりでも、市民の皆さんとともに恒例の手踊りを披露します。「いっしょに楽しい時間を過ごしましょう」と黒河さん。これからも地域に息づく踊りの文化を次の世代へ伝えていきます。