- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県入間市
- 広報紙名 : 広報いるま 令和7年4月1日号
「障がい」ってなんだろう?みんなでつくる生きやすい社会
障害平等研修(DET)ファシリテーター 上野 優一さん
○プロフィール
2009年に頸髄損傷により四肢麻痺となり、社会のバリアや障壁を実感。「誰もが楽しく過ごしやすい共生社会の実現」を目指し、障害平等研修(DET)のファシリテーターとして活動を開始。現在はNPO法人障害平等研修フォーラムの事務局長とDET埼玉の代表として全国でのDET普及にも尽力。
行政機関や小学校を中心に研修を実施し、共生社会の実現に向けた意識改革を推進しています。
※DET:Disability Equality Trainingの略。障がい者自身がファシリテーター(対話の進行役)となって進める障がい学習のこと。
私がこの研修を始めるきっかけになったのは、ある小学校の福祉体験学習でした。車椅子ユーザーとして子どもたちに車椅子体験をしてもらったのですが、その感想文の中に「もし自分が車椅子になって大変な思いをするなら死にたい」と書かれていたのです。車椅子になったからといって、人生が終わるわけではありません。社会には楽しいことや学べることがたくさんあるし、自分らしく生きていけるはずです。そんな社会をつくるために、私は障害平等研修のファシリテーター養成講座を受け、この研修を広める活動を始めました。
多くの人が、これまで障がい者と話したことがないと言います。でも一度対話すると、みんな同じ人間なのだと気づくのです。研修では「障がい者が困っていること」を教えるのではなく、「障がいとは何か」を一緒に考えてもらいます。
例えば、入間市には約4,100人の身体障がい者がいます。でも、ファミレスや映画館で、身体障がい者を見かけることは少ないのではないでしょうか。本当は「美味しいものを食べたい」「映画を観たい」と思っているはずなのに、物理的・心理的なバリアがそれを阻んでいるのです。障がい者と健常者を分けているのは、実は社会の意識の方なのかもしれません。「障がい者は特別な存在」と考えるのではなく「ともに生きる仲間」として認め合う。そういう社会になれば、もっと暮らしやすくなるはずです。