- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県和光市
- 広報紙名 : 広報わこう 令和7年3月号
あなたの心のふたを開けて、思いを解き放ち、その思いを自分らしく奏でてほしい…。そんな願いから「おるご〜る」と名づけられました。
◆制服リニューアルから考える性の多様性“性別の思い込み”を見直そう
2024年4月から、市内すべての中学校の制服が「ブレザー」スタイルへ変わりました。長らく「女子はセーラー服・男子は詰襟(つめえり)」の制服が続いてきましたが、性別に関係なく誰もが自由に組み合わせを選べるようになりました。市教育委員会によれば、多様性への配慮から変更することになったそうです。各校で行われた制服のリニューアルをきっかけに、「多様性ってなんだろう」ということについて、市民の皆さんも一緒に考えてみませんか。
和光市立第二中学校の旧デザインの制服。
セーラー服、詰襟の制服。
↓
和光市立第二中学校の新デザインの制服。ブレザーで組み合わせ自由の制服。
リボン、ネクタイ、スカート、スラックスの組み合わせも自由。
※詳細は本紙をご覧ください。
◇わこうプラン推進委員が市教育委員会にインタビューしました。
Q:制服が変わった経緯は?
A:生徒の選択肢を広げるために、制服の見直しが全国的に進んでいます。こうした中で性の多様性への配慮や機能性の観点から市内各中学校の制服も変わりました。
詰襟やセーラー服に対しては、「詰襟の制服は重い」、「詰襟は硬くて苦しい」、「セーラー服はスカーフを結んだり、パーツが多いので着るのに時間がかかる」、「スカートは秋や冬は寒い」といった声が生徒たちからあがっていて、以前から課題となっていました。
また、これまでの制服では、自認する性ではない性別の制服を着ることに抵抗があった生徒がいたかもしれません。
Q:どのように制服デザインを変えたの?
A:制服のデザインを変更するにあたっては、各校が保護者や市民で構成する検討委員会を設置しました。
検討委員会では、性別でデザインを分けない制服や、快適さ、家庭で洗濯しやすい素材を使うなど機能性を重視した制服にしてほしいといった意見があがりました。
また、生徒がエンブレムやボタンなどのデザインを考えた学校もあります。
性別で分けない制服のことを「ジェンダーレス制服」と言います。
組み合わせを自由に選べるようになり、制服に対する悩みが少しでもなくなればいいですね。
制服の機能性が向上すると学校生活がより過ごしやすくなりますね。
◆性の多様性ってなに?
「性」と聞くと、男性と女性の2種類を思い浮かべる人が多いと思います。私たちの性は、「こころの性(性自認)」、「からだの性」、「好きになる性(性的指向)」、「表現する性」の4つの性の組み合わせで考えることができます。それぞれの性を尊重しましょう!
◇こころの性(性自認)
自分が実感している性別、生きていく性別のこと。男性・女性とはっきり実感する人もいれば、男性女性の両方、男性女性の中間、どちらでもないと実感する人もいます※。
◇からだの性
生まれつきの体の性別のこと。男性の体にも女性の体にもいろいろな形があります。
◇好きになる性(性的指向)
恋愛対象とする性別のこと。男性・女性とはっきり思う人もいれば、男性女性の両方、もともと性的欲求や恋愛感情をもたないという人もいます。
◇表現する性
髪型や服装、言動などで表現したい性別のこと。
※男女どちらでもないと実感している人や、男女で性を決めたくない人は「Xジェンダー」や「ノンバイナリー」と呼ばれています。
出典:性の多様性に係る「児童生徒用リーフレット(中学・高校生版)」(埼玉県教育委員会)
※二次元コードは本紙をご覧ください。
出典:性の多様性に係る「児童生徒用リーフレット(小学校5・6年生版)」(埼玉県教育委員会)
※二次元コードは本紙をご覧ください。
◆図解!学校生活の多様性「昔」と「今」
制服だけでなく、スクール水着やランドセル、名簿など学校生活の様々な場面で多様性が尊重されるようになりました。イラストで比べてみましょう。
※イラストは本紙をご覧ください。
◇スクール水着
現在は、指定の水着を設けない学校も多く、性別にかかわらずラッシュガードを着用する生徒もいるそうです。
◇ランドセル
ランドセルの色を自由に選ぶのが当たり前となってきた現在、淡い紫色や水色を選ぶ女子児童も多いそうです。
◇クラス名簿
現在は、クラス名簿は性別で分けずに五十音順に並べる「混合名簿」が主流となってきました。
◆取材を終えて〜大人こそ性の多様性への理解を〜
制服の変更によって子どもたちがこれまで不自由に感じていた点が改められ、それぞれが自分に合った制服を選び、自由に組み合わせることができるようになりました。使い勝手も良くなり、生徒たちの間でも新しい制服は好評なようです。今回の制服リニューアルは、伝統的な固定観念にとらわれることなく、生徒の個性をより尊重する時代に変わってきた象徴的な出来事といえそうです。
今回、和光市の制服変更の実情はどうなっているのか調べてみて、性の多様性への対応は教育現場で少しずつ進んでいることがわかりました。子どもの頃から多様性について学び、お互いを尊重する心を育むことがますます重要となります。その点、取材では「性の多様性については、子どもたちの方が大人よりもはるかに寛容だ」とうかがい、安心しました。これからは、地域や家庭で子どもたちを見守る大人たちも「男の子は?」、「女の子は?」といった固定的な男女の役割分担意識から脱して、子どもたち一人ひとりの多様な個性を認め、活かす意識を持つことこそが大切だと感じました。
◆編集後記
◇男女共同参画わこうプラン推進委員(五十音順)
・今号は、よい着地点を見つけられたような気がします。(浅野 里香)
・制服のある企業は、学校の事例を参考にぜひ選択制の導入をしてほしいです。(土田 那津子)
・性の多様性に柔軟に対応する子どもたちの生の意見を聞けなかったのは残念でした。(林 功)
・誰もが少しは持っている偏見や先入観→気をつけたいものです。(星野 裕司)
◇和光市男女共同参画アドバイザー
公募による市民の方たちと和やかな雰囲気の中で編集会議を重ね、今年も「おるご~る」を発行することができました。お忙しい中、ご協力をいただいた皆様ありがとうございました。(石崎 裕子〈跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部 まちづくり学科准教授〉)
問い合わせ:企画人権課 人権文化交流担当
【電話】424-9088