- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県北本市
- 広報紙名 : 広報きたもと 令和7年11月号
私たちのまちでも、大きな災害が起きる可能性があります。「その時」が来る前に私たちは何ができるでしょうか。今回は、地域で日頃から防災に取り組む皆さんにお話を伺いました。取材で見えてきたのは、「いつも」の中にあるつながりでした。
■東間1・2・3・4丁目の自主防災会~地域の祭りも防災力を高める場に~
北本市には111の自治会があり、そのうち71自治会が自主防災組織を設立しています。自主防災組織とは、防災訓練や初期消火、避難誘導、避難所運営などを地域の人々が協力して自主的に行う団体です。
東間1・2・3・4丁目の各自治会では、平成29年・30年に自主防災会を設立し、浅間(せんげん)会館を拠点に合同で活動しています。これにより、補助金もまとまった額が活用でき、テントや発電機などの機材も購入することができます。
年1回の合同防災訓練では、タオル掲示や住宅地図を活用した安否確認訓練を重点的に実施しています。昨年からは消防署の職員を招き、AED講習も始めました。
取材した10月4日は、地域の秋祭り当日。「祭りの一部として市役所の出前防災講座を開催するんです。祭りに使うテントや投光器などは、災害時に使うものを倉庫から出して、みんなで組み立てて準備します」と黒澤さんは話します。普段から機材の保管場所や使い方に慣れるようにしているんですね。「夏休み期間は、近くのボーリング場の駐車場を借りて、ラジオ体操や縄とびを地域のみんなでしています。自治会員以外の人も参加しやすい行事を通じて顔の見える関係づくりをすることで、災害時も助け合えるように交流の場を作っています」と内田さんは話します。取材中も、お祭りの様子を伺っていた外国人夫婦に手招きする姿が印象的でした。「子どもを巻き込んだ行事だと多くの人が参加しやすいですね。今までは自治会に関わる人の参加が多かったですが、最近は転入してきた若いお父さんが防災訓練に参加してくれて嬉しかったです」と谷口さんは話します。防災に強いまちづくりに関心のある若い人が増えてきていると自主防災会の皆さんは感じています。
■いつもの顔が地域を守る消防団
普段は本業を持ちながら、有事の際にいち早く駆けつけ、消火、避難誘導などの活動をする消防団。令和6年能登半島地震や火災現場でも消防団が活躍し、重要な役割を果たしています。市内には126人の団員が6つの分団に配属されて活動しています。
◇樋口正導(まさみち)さん
今年4月に入団した樋口正導さん。普段は製作所で働きながら、地域のために消防団の活動に踏み出しました。
父が元団員で、私も地域の力になりたいと思い入団しました。消防団は厳しいイメージがありましたが、入ってみると、先輩が声をかけてくれたり、操法をやさしく教えてくれました。先輩とのコミュニケーションや団体行動を通して、チームワークの大切さを改めて感じました。本業は個人作業が多いですが、会社の結束力を高めることにも活かせそうです。
◇内田有美(ともみ)さん
東松山市での災害ボランティア活動参加がきっかけで、北本市の女性消防団員発足メンバーの一人として入団した内田有美さん。ピアニストのかたわら多面的な視点で消防団活動に取り組んでいます。
地域向けのAED講習などに力を入れています。受講者が安心して質問もしやすいように、会話で雰囲気を和ませながらその人に合った防災対策を伝えるようにしています。自治会のお祭りで防災講座をした時には、子どもからもたくさんの質問をもらいました。消防団や防災が身近になるように、地域と連携する機会を増やしていきたいです。
◇山本浩之さん
入団歴29年。農業を営みながら分団長を務める山本浩之さん。長年の活動から見えたものは、人とのつながりでした。
つながりって大切なんだな。冬の夜に起きた火災現場では、朝まで消火活動をしました。現場近くに住む方が、団員に夜食やトイレの提供、暖を取らせてくれたおかげで活動がはかどりました。
地域の人には、夜警巡回時に顔を出してくれたり、「子どもに手がかからなくなったら入団したい」と言ってくれる人もいます。地域とつながりながら、地域のために活動していきたいですね。
〔消防団員募集中〕
興味のある人は、くらし安全課危機管理・消防防災担当(【電話】594-5523)までご連絡ください。
