健康 [特集]年に1度の健康チェック(2)

◆習慣見直す良いきっかけ
市特定保健指導では、個別相談で保健師や栄養管理士らと一緒に健診結果を確認し、食事や運動習慣を見直して自分に合った生活改善プランを立てます。生活習慣病の発症リスクの高さによって支援内容が変わります。「動機づけ支援」では原則1回の面接で、専門家と目標・計画を立て、3カ月以上経過してから状況を確認します。よりリスクが高い方が対象の「積極的支援」では、1回目の面談で専門家と目標・計画を立て、目標達成に向けて3カ月以上継続したサポートが受けられます。サポート体制は各市国保・社保によって変わります。

昨年度の健診結果から市の「動機づけ支援」の対象になった相原陽子さん指導を受けるのは今回が初めてです。普段から食事に気を付けている相原さんは、健診結果をきっかけに、指導される前から運動習慣を変えていたそう。「健診結果を前年と比べてみて、運動不足だと感じました。ちょうどステッパーでの運動を始めたところだったんです」と話します。面談では、漠然と測っていた体重は曜日・時間を決めて測ることにしたり、無理のない1日の運動の計画を立てたり。「専門家にアドバイスをもらって、かしこまらずに続けられる計画を立てられました」と相原さん。「結果を報告すると思うと、計画を実践するきっかけになります。薬を飲むのが苦手なので、病気にならないように今からできることを続けていきたいです」と目標を語ります。

◆早期発見でがん治療の負担を軽く
日本人の死因、第1位の「がん」。昭和56年以降、その順位はずっと変わりません。重い自覚症状をきっかけに見つかったがんの治療は、時間・費用がかかるだけでなく、完治するのが難しい場合もあります。市健康課の保健師、門脇かほりさんは「がん検診は、症状がないうちに、隠れているがんを発見しようとする検診です。年代に合った適切な検診を受けることは、将来的にさまざまな負担の軽減につながります」と話します。

◇がん検診を受けやすく
各がん検診の対象年齢は、り患率(グラフ(4))などを基にした国の指針で決められています。乳・大腸・胃・肺のがんり患率が増え始める30〜40歳代は、まさに働き盛り。仕事や子育てが忙しいなどの理由で、自分の体のことを後回しにしてしまう方もいるのではないでしょうか。平塚市のがん検診の受診率は県内でも低く、乳がんと胃がんの検診では、県の平均の約半分になっています。
このような状況から、市は令和5年度から乳がんと胃がん検診の内容などの見直し(表(2))を市医師会とともに進めてきました。門脇さんは、「令和7年度から、受診する上でハードルになっていた、乳がん検診での視触診や、内視鏡による胃がん検診の年齢上限などをなくしました」と説明します。乳がん検診の視触診を敬遠する声は、市民からも多かったそう。「今回の見直しが、少しでも受診のきっかけになったらと思います」と期待を込めます。

・グラフ(4)年代別のがんり患率
(人口10万人に対する全国推計値)

令和2年国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・情報」を基に健康課で作成

・表(2)受診しやすい内容に変更

受診費用は集団検診と医療機関での検診で異なります。
詳しくは、市ウェブをご覧ください。社会保険などの扶養に入っている方で、健康診断にがん検診が含まれていない方も受けられます。

◇精密検査を受けましょう
検診の結果、精密検査が必要になると、医師や保健センターから精密検査連絡票が渡されます。がんを早期発見するために受けた検診でも、忙しさからそのままにしたり、実際にがんが見つかるのが怖くなったりして、精密検査を受けない人がいるそうです。
医療技術が進み、がん全体の死亡率はゆるやかに減少しつつあります。しかし、大腸がんの死亡率に注目すると、国・県が減少しているのに対し、平塚市は平均を上回っています(グラフ(5))。「大腸がん検診は、市のがん検診の中では受ける方が多いです。ただ、精密検査が必要な方のうち、約4割の方からは受けたという報告が届いていません」と門脇さん。直接、死亡率と関連しているかは定かでないと前置きしつつ、「がんは気付かないうちに進行しています。大腸がんに限らず、自分のために精密検査を受け、早期発見・治療につなげましょう」と呼び掛けます。

体の異常にいち早く気付くための特定健診とがん検診。これからも元気に過ごすため、年に1回、健康状態を知る時間を大切にしませんか。

・グラフ(5)

標準化死亡比(SMR)とは…
年齢構成の違いの影響を除いて死亡状況を表す、地域を比較するために用いられる統計指標。全国を100とし、100より大きい場合の死亡率は全国より高いと判断され、100より小さい場合は全国より低いと判断される。