- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県平塚市
- 広報紙名 : 広報ひらつか 令和7年7月第1金曜日号
◆戦災を風化させない
平成23年からI(アイ)LOVE(ラブ)PEACE(ピース)事業運営委員会での活動を始めた眞田(さなだ)さん。元々平和活動に関心があり、地域婦人団体に加入したのをきっかけに、同委員会の存在を知りました。
毎年、平塚が空襲を受けた7月16日にキャンペーンをしている同委員会。「曜日にかかわらず、必ず7月16日に活動しています」と眞田さんは言います。チラシなどを配り、平塚で空襲があったという歴史を多くの方に知ってもらうために続けています。今年は市美術館で、いわさきちひろ平和パネル展(2面下囲み)の期間中に活動します。
※詳細は本紙をご覧ください。
・I LOVE PEACE事業運営委員会
委員長 眞田晃子さん
同委員会は、市と協働で平和事業の運営を担っています。市民キャンペーンや市民平和の夕べ、市民広島派遣などを通して平和の普及に取り組んでいます。
◇平和の光を灯(とも)す
同委員会の主な活動の一つは、市民平和の夕べです。総合公園にある大池での灯ろう流し(下写真)や、戦時中の食の一つだったすいとんの試食会、中学生・高校生によるコーラスなど、平和意識の普及と啓発を図るイベントです。
眞田さんが委員長に就任したのは平成28年。就任後には、市民平和の夕べで使う灯ろうを新しくしました。「これまでの灯ろうは、組み立てと解体・乾燥に膨大な時間と手間がかかっていました。また、来場者のメッセージが書かれた紙のセットもスムーズにいきませんでした」と眞田さん。「新しい灯ろう(右写真)は、そういった悩みがほとんど解消されています」と続けます。市民広島派遣の担当委員として、広島の灯ろう流しに参加した際、使われていた灯ろうを参考にしたそうです。
※写真は本紙をご覧ください。
◇来場者の存在が原動力
眞田さんは「市民平和の夕べをはじめとする平和事業などに足を運んでくれる方々の存在が、活動の原動力になっています」と話します。毎年、市内外問わず多くの人が来場する市民平和の夕べ。「1時間30分と短い時間ですが、昨年度は500人が集まり、大池に270基もの灯ろうを流しました。やはり、多くの方々に来てもらえるのはうれしいですね。委員のみんなも同じ気持ちです」と目を細めます。
「市民平和の夕べや市民キャンペーンは、平和への祈りで皆さんの思いが一つになる平和事業です。ぜひ多くの方に会場に足を運んでもらいたいです」
◆美しい地球と輝かしい未来を守ろう
市が核兵器廃絶平和都市を宣言してから今年で40年を迎えます。宣言を普及・啓発するため、市役所本館の南東側出入口付近の懸垂幕(写真左)をはじめ、市内7カ所に宣言塔などを設置しています。懸垂幕のデザインは、I LOVE PEACE事業運営委員会が考案しました。下部に描かれたなでしこの花びらには、小さく「へ」「い」「わ」の3文字が書かれています。
総合公園平塚のはらっぱ西側には、被爆アオギリの2世(写真右)を植えています。広島に投下された原爆の爆心地から1.3キロメートルで被爆したアオギリの苗木で、平成27 年に植樹しました。
◆平和に思いを馳(は)せて
・平塚市長 落合克宏
終戦からまもなく80年が経過します。戦争を肌身で知る世代が減りゆく中で、その記憶が次第に薄れていくことを危惧しています。また、今なお世界各地で紛争が続いており、恐怖に怯おびえながら暮らしている人々が数多くいます。
私たちが平穏に暮らせているのは、先人たちの不断の努力により日本が復興したおかげであることを忘れてはなりません。核兵器のない、平和で安心して暮らせる社会の実現に向けて、市民の皆さんと平和の尊さを見つめ直し、次の世代に引き継いでいくことこそが私たちの責務だと考えます。
本市では「アイラブピース」を合言葉に、平和意識を普及・啓発する事業を進めています。二度と悲惨な戦争を繰り返してはなりません。この節目の年に市民の皆さんが、さまざまな機会を通じて平和へ思いを寄せていただくことを願っています。
◆戦争と原爆の悲惨さを知った
市民広島派遣・・・平和記念式典への参列・被爆者との交流などを通して、平和の尊さや大切さを知り、1人でも多くの人に伝えることを目的としています。昨年度参加した2人に話を聞きました。
「平和記念公園にある、原爆の子の像にささげられた折り鶴の数に驚きました」と話すのは、高校1年生の髙梨(たかなし)香帆さん(左下写真)。平和を願う人々の思いを感じた場所だったと言います。
平和記念式典や灯ろう流しなどには、年齢や国籍を問わず多くの人が訪れていたそう。「市民広島派遣は、本やインターネットで調べただけでは分からない、平和の尊さと戦争の悲惨さを肌で感じた貴重な体験でした。今後も平和への関心を持ち続けていきたいです」と、強い気持ちを抱きます。
「学校の配布物で市民広島派遣を知りました」と話す、中学1年生の大澤(おおさわ)結衣さん(右下写真)。一番印象に残ったのは、被爆体験者の方の話だったそうです。「原爆の熱風で、街には皮膚が溶けた人があふれていたなど、生々しくリアリティのある話は衝撃的でした」と思い返します。
同派遣で学んだことをファイルにまとめて学校に提出したという大澤さんは「先生や友達と一緒に、戦争や原爆のことを考えました。市民広島派遣での経験を多くの人に伝え、知ってもらい、平和につなげていきたいです」と、思いを語ります。
※写真は本紙をご覧ください。