イベント 国際芸術祭「あいち2025」(1)

◆[第1章]監督インタビュー
フール・アル・カシミ芸術監督に聞いてみた。フール・アル・カシミ芸術監督に、瀬戸にフォーカスを当てたインタビューをしました。芸術監督が感じた瀬戸の第一印象、市内の作品の見どころなど、すぐにでも見に行きたくなる情報がたっぷりです。

▽歴史を感じる瀬戸が好き
(問)瀬戸市に初めて来たときの第一印象は?
(監督)旧日本鉱泉、旧深川小学校など、キュレーターチームと一緒に、色々な場所を歩いて訪れました。特に、小学校を間近で見たときには歴史を感じました。多様性に富んだ瀬戸のまちなみを見て、展示する作品の想像が膨らみました。

▽世界に共通できるテーマ
(問)テーマ「灰と薔薇のあいまに」はどのように決まりましたか?
(監督)愛知だけにとどまらず世界に共通してシェアできるテーマを選びたいと思った時に、人間と環境・自然が頭に浮かびました。原住民の方は、現地にある自然と結び付いたものをもとに生活し、文化が育まれています。一方で、資本主義や工業化が進むことによって、自然が破壊されてしまったという歴史もあります。人間が活動する中で、自然と調和して過ごすことと、破壊することが対照的にあると考えています。
アドニスという詩人が書いた詩にある「灰と薔薇のあいまに」という一節が、破壊と再生をよく象徴していると感じ、このテーマを設定しました。

▽まちなかの雰囲気と一緒に楽しめる
(問)瀬戸市内の作品の見どころは?
(監督)キュレーターチームと一緒にアイデアを出し合って、アーティストを決めました。旧日本鉱泉で展示する佐々木類さんは、ガラスを使ったとても不思議で美しいインスタレーションを展示しています。他にも、陶器の原料を生産する(株)加仙鉱山で展示しているロバート・アンドリューさんの作品や、梅村商店で展示しているマイケル・ラコウィッツさんの作品も圧巻です。私は日本の漫画も好きで、松千代館では漫画家のpanpanyaさんが瀬戸の歴史にまつわる新作漫画を展示しています。他にも、たくさんの作品がまちなかにあるので、ぜひ、足を運んでいただきたいです。
さらに、愛知県陶磁美術館に着目すると、パフォーミングアーツ公演を行うクォン・ビョンジュンさんの作品も素敵です。美術館の庭で、音と空間を楽しむパフォーマンスです。

▽まちを新たな視点で楽しんで
(問)市民に向けたメッセージをお願いします。
(監督)市民のみなさまを想ってこの芸術祭をつくりあげてきたので、ぜひ、見ていただきたいと思います。自分たちの市を新たな目で見て、魅力の再発見などのきっかけにしていただけたらうれしいです。

◆フール・アル・カシミ芸術監督
《プロフィール》
[シャルジャ美術財団理事長兼ディレクター/国際ビエンナーレ協会(IBA)会長]
アラブ首長国連邦をはじめ中東、そして世界中のアートを繋ぐ支援者として、2009年にシャルジャ美術財団を設立し、現在は理事長兼ディレクターを務める。2017年には国際ビエンナーレ協会会長に選出。イギリスの現代美術雑誌が毎年公表する、アート界における影響力のある100組を発表する、「Power100」(2024年)の第1位にも選出される。

問合せ:
秘書広報課(市役所4階)【電話】88-2530
国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局【電話】052-971-3111